2009-10年の予想利益を上方修正、製品価格の回復で先行きに強気見通し

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00347 鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール) 16.90 HKD
(12/31現在)
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BOCIはアンガン・スチールの2009年12月通期の純利益を13億4300万元と予想している。10-12月期の純利益に関しては前四半期実績(18億9300万元)を46.5%下回る約10億元を見込み、その理由として平均販売価格の7%の下落を指摘した。販売量および経費については、前四半期から横ばいで推移するとの見通しを示している。

BOCIは同社の2010年の業績について、従来より楽観的な見通しを明らかにしている。販売価格に関してより強気の見方に転じたためで、その理由は主に、◇国内の自動車・家電セクターによる旺盛な鋼材需要◇中国政府が鉄鋼業界の供給過剰是正策をさらに強化する見通し◇輸出の回復傾向――。BOCIは、金融危機前に17.9%に達していた輸出売上比率が09年に4.3%まで落ち込む見通しを示しながらも、この先の国際鉄鋼相場の改善や需要の回復を予測。10年の鉄鋼価格の予想上昇率を「前年比12%」から「同15%」に上方修正し、11年の予想上昇率についても「同5%」から「同10%」への引き上げを行った。これに伴い、同社の10年、11年の利益見通しをそれぞれ15.6%、46.6%上方修正。また、平均販売価格が1%上昇するごとに、同社の10年予想純利益が8.1%増えるとの分析結果を明らかにした。

BOCIは同社の09年通期の生産量が1900万トンに達すると予想し、08年10月に操業を開始したBayuquanのプロジェクトがうち450万トン(うち熱延鋼板390万トン、厚板60万トン)を占めるとみている。同社は本来、Bayuquanで500万トンの生産を予定していたが、厚板の出荷先である造船業の業況悪化を受け、生産調整を行った。ただ、BOCIはBayuquanの10年の年産量が550万トンに拡大すると予測している。

同社は鉄鉱石所要量の60%を親会社から調達しており、契約価格に基づく海外からの輸入分は全体の40%。親会社との間では先ごろ、輸入鉄鉱石を5%下回る価格(直近6カ月間の平均価格比)での調達に合意した。BOCIは同社の09年上期、下期の鉄鉱石調達価格を1トン当たり平均570元、同630元と予測し、10年上期についても同630元との見通しを示した。また、鉄鉱石調達価格が1%上昇するごとに、同社の10年の予想純利益が1.7%目減りするとの分析結果を明らかにしている。

一方、同社は09年7月22日に、H株2億1716万株の発行を通じた第三者割当増資計画を発表(発表日時点で、発行済み株式総数に占める新株の割合は20%以下)。本来、この増資を09年末までに実施する予定だったが、中国政府が鉄鋼業界のエクイティーファイナンスの認可要件を厳格化したことが響き、延期の運びとなった。BOCIは中国政府が要件を再度緩和するまで、増資をめぐる認可獲得は難しいとみている。

BOCIは今回、利益見通しの上方修正に伴い、同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対するこれまでの慎重な見方を強気の見方に引き上げている。