受注回復と一般消費財の小売事業者が貢献、3カ年計画は最終的に目標達成の見通し

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00494 利豊(リ・アンド・フン)  31.70 HKD
(12/21現在)
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BOCIは、今年10-12月期の米小売市場の動向に大きな期待は寄せていないものの、リ・アンド・フン(L&F)については市場予想を上回る可能性があるとみている。一般的な市場コンセンサスでは今年の歳末セールの小売売上高は前年同期比1%減。L&Fも、提携先の売上高についてほぼ前年並みと、大方の予想に同調した見方を示している。一方で、一般消費財の小売事業者の落ち込みは軽微。L&Fの最大顧客であるKohl'sは、7月以来プラス成長を維持している。売上構成にこうした事業者の貢献が大きくなることで販売単価の下落圧力が弱まり、増収の可能性があるという。

BOCIはまた、2009年12月から2010年上期に受注が回復する可能性を指摘した。金融危機の影響が弱まるにつれ、小売店は在庫を増やす見通し。貿易統計によると、中国の輸出額は今年10月の前年同月比13.8%減から11月には同1.2%減に回復。年末または来年上期にはプラス成長に転じるとみられる。

L&Fのオンショア事業部門が担当する小売店のPB製品が、今年秋から好調に推移している。景気後退で消費者は出費に慎重になっているものの、買い物は日々のレジャーの一部であることから、消費者は購入品を有名ブランドから小売店の安価なプライベートブランド(PB)にシフト。小売店も、粗利益を維持しつつ安価に提供でき、他社との差別化を図ることができるPBに注力している。JC PenneyおよびKohl'sの PB製品の売上比率はそれぞれ45%、42%に達している(2008年)。L&Fは現地で小売店をサポートするオンショア事業部門でPBの取り扱いシェア拡大を推進。2009年は、オンショア事業の売上高が15%を占める見通し。 L&Fは積極的にM&Aを進めており、10月には米国で男性や子供向けのアパレル事業を展開するウエアー・ミー・アパレルを買収。12月初めにはハドソンズ・ベイ・カンパニーとPB製品の納入契約を交わした。同社の既存ネットワークを利用することで今後の収益拡大が見込まれるという。 BOCIは同社の2010-11年予想利益をそれぞれ12%、17%引き上げた。価格圧力の軽減と、来年1-3月期の受注増、オンショア事業部門の市場シェア拡大、および向こう6-12カ月以内の買収機会を考慮した。L&Fの推定負債比率は3%と財務体制は磐石なため、今後も買収を行う余力があるとBOCIはみている。 L&Fは来年、3カ年計画の最終年を迎える。計画開始以降に金融危機に見舞われ2年目の達成率は75%にとどまったものの、BOCIは同社が最終的に売上目標を達成する可能性が高いと予想。営業利益の達成率は82%と控えめな見方を維持しているが、上方修正の可能性も含んでいるとした。BOCIの予想値は市場コンセンサス上限を10-15%下回る水準。株価の先行きについては強気の見方を維持している。