今週は、アメリカで重要な景気指標の発表が続きます。米景気が強すぎて利上げが近いという見方が広がると、世界的に株が売られるきっかけとなる可能性があり、注意を要します。特に、6日(金)日本時間22時30分発表予定の2月雇用統計は注目が高くなっています。

米景気が「ほどほどに強い」なら問題ないですが、「強すぎる」と判断されると、利上げ懸念が強まり世界的に株が売られるリスクが生じます。もちろん、米景気がいきなり「弱い」と判断されるのも、米国株には良くありません。「強すぎず」「弱くはなく」「ほどほどに強い」状況が続くか、注目しています。

(1)日本株への強気判断を継続するが、短期的に乱高下する可能性には注意

原油安・円安の追い風を受けて、日本の景気・企業業績の回復基調が明確になりつつあるので、年末に日経平均が20,000円に上昇するとの見方は変わりません。アメリカで利上げがあっても、それで日本の景気・企業業績の回復トレンドが変わるとは考えていません。

ただし、短期的に日経平均が乱高下する可能性には注意が必要です。過去20年以上、日経平均の短期的な動きは、日本人よりも外国人の売買動向によって決まってきました。外国人は、買う時は上値を追って買い、売るときは下値を叩いて売る傾向があるからです。

日本の景気・企業業績とは無関係に海外の事情によって、外国人が日本株を急に売ってきたり、買ってきたりすることがあります。今年も、米利上げ懸念やギリシャ信用不安から、日経平均が急落・急騰する局面はあると思っています。

(2)アメリカの利上げを世界の投資家が恐れる理由

米FRBは、アメリカの中央銀行であるとともに、事実上、世界の中央銀行でもあります。ドルは世界中の金融取引で使用されていますので、アメリカが金融を引き締めると、世界の金融が引き締まる傾向があるからです。

それだけに、世界中の投資家がFRBがいつ利上げを敢行するか、注目しています。

(3)米FRBが利上げを開始したら、何回続けて利上げするか?

「FRBはひとたび利上げを始めると、過去の経験則では、5~6回は連続で利上げし、2%くらい短期金利が上昇する」と考えている人が、まだたくさんいます。現在上限0.25%のFF金利(アメリカの代表的な短期金利)誘導水準が、2017年に2%台に達するというのが、市場コンセンサスとなっています。

米FF金利誘導水準:1971年3月~2015年2月

(出所:ブルームバーグ)

インフレ率が高かった過去を振り返ると、確かに利上げが始まると、2%は短期金利が上昇していました。比較対象としてよく語られているのは、2004年4月から始まり2006年6月まで続いた利上げです。1%だったFF金利は2年間で5.25%まで上昇しました。

(4)今年FRBの利上げが始まっても、せいぜい1~2回で打ち止めになると予想

私は、今年FRBは秋口に利上げをすると考えています。ただし、過去とは異なり、1-2回利上げしたら打ち止めと予想しています。インフレ率が高かった時代の経験則は当たらないと思います。

世界の株式市場では、米利上げが近づくにつれ「リスク・オフ」の動きが広がり、株が調整する可能性が高まります。ただし、実際に利上げがあった後は、世界的に株がリバウンドすると予想しています。アメリカおよび世界のインフレが低下している状況に鑑み、利上げは1~2回で打ち止めという考えが広がることが、リバウンドのきっかけになると予想しています。