景気回復を織り込む日本株の上昇が始まっていると見ています。今はまだ景気回復の実感がないと考える人も多いかもしれませんが、株は多くの人が回復を実感する前に動きます。今年は、原油急落・円安の恩恵から、日本の景気回復色が強まると予想しています。日経平均は、近いうちに19,000円をつけると予想しています。

(1) 原油急落の恩恵は大きい、今後、景気は踊り場脱出へ

アベノミクス・スタート後の2013年に一時日本の景気回復が鮮明になりましたが、2014年には一転して停滞局面に入りました。欧米の定義では、2014年4~9月は短期景気後退局面に該当します。

10-12月にようやく景気が持ち直しましたが、回復力は弱いままです。ただ、ここで強力な追い風がふきました。原油安です。原油だけでなく、銅・鉄鋼石・石炭など日本が輸入する天然資源が全面安となりました。資源安ショックで資源国の景気悪化は避けられませんが、日本企業は、円安・資源安のメリットを受けて競争力が一段と強まりました。2015年は、景気踊り場を脱出して、日本の景気回復色が強まる年になると予想しています。

日経平均の動き:2013年1月~2015年2月

(楽天証券経済研究所が作成)

(2)2003~2005年の株価・景気変動パターンと酷似

アベノミクス開始後の日経平均の動きは、不良債権問題から解放された2003年5月以降の日経平均とよく似ています。

日経平均の動き:2003年5月~2005年12月

(注)楽天証券経済研究所が作成

不良債権問題から解放された日本経済は、2003年には景気回復の勢いが強くなりました。ただし、2004年には、「踊り場」と言われる景気停滞期に入りました。2004年後半にはGDPや鉱工業生産指数が、一時的にマイナスとなりました。欧米の定義では、2004年は、短期景気後退に該当します。この環境を映して、日経平均は1年以上11,000円近くで膠着しました。その後、2005年には、再び景気回復の勢いが強くなり、日経平均は大きく上昇しました。

アベノミクスがスタートした2013年1月から現在までの日経平均と、2003年5月から2005年12月までの日経平均を比較したのが、以下のグラフです。

日経平均の動き比較

赤い線は、2013年1月~2015年2月まで
青い線は、2003年5月~2005年12月まで

(注)2003年4月25日と、2013年1月4日の日経平均を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

日経平均の動きが似ているのは、これまでの景気回復のパターンが似ているからです。2015年が私の予想通り、日本の景気回復色が強まる年になれば、2013・2014・2015年の3年間の景気・株価パターンが、2003・2004・2005年の景気・株価パターンと同じになる可能性もあります。たまたまですが、ちょうど10年ずつ離れています。

(3)海外発のリスクには注意

今年は、海外に、さまざまなリスク要因があります。①アメリカの利上げ、②資源国の景気悪化、③欧州の信用不安、④世界各地の地政学リスクを注意する必要があります。

私は、年末に日経平均は20,000円まで上昇すると予想していますが、一本調子の上昇とはならず、海外でのリスクが顕在化した時には、外国人の売りによって一時的に日経平均が急落する可能性もあります。海外のリスクについては、毎日のレポートで報告していこうと思っています。