9日の日経平均は、63円高の17,711円でした。1月の米雇用統計が強かったことを受けて、一時1ドル119円台までドル高(円安)が進んだことが好感されました。ただし、日経平均は朝9時の寄り付き直後に日中高値の17,799円をつけた後は弱含みで推移しました。日本の景気・企業業績は次第に回復色が強まってきており、日経平均はいつ高値を抜けてもおかしくないと見ていますが、海外に不安材料があり、しばらく上値の重い展開が続きそうです。

一方、小型株指数には今年に入ってから、一足先に高値を更新しているものもあります。当面は、海外景気の影響を受けにくい、小型の好業績株の方が買われやすい地合いが続くと予想しています。

(1)日経平均は18,000円を前に一進一退

日経平均の動き:2013年1月4日~2015年2月9日

昨年12月に一時18,000円を超えた日経平均は、その後、調整して17,000円台で一進一退となっています。図でご覧いただける通り、三角もちあいを形成しています。ただし、テクニカル分析でみて、この三角もちあいは強基調です。上値を抑えている線がなだらかに下降しているのに対し、下値を支えている線の上昇角度は急だからです。あくまでもテクニカル分析ですが、このもちあいは先行き上放れる可能性が高いと見ることができます。

(2)東証二部指数・東証一部小型株指数は1月に高値更新

東証二部指数は、日経平均が調整する中、1月に高値を更新しました。足元、やや調整していますが、上昇基調は崩れていません。東証二部株には、内需株が多いことが関係しています。東証一部の大型株が海外の不安要因からやや上値が重くなる中、東証二部上場の小型株は、国内景気の回復を反映して、見直し買いが入りやすくなっています。

東証二部指数の動き:2013年1月4日~2015年2月9日

東証一部の小型株指数も1月に高値を更新しています。大型株の上値がやや重くなる中、好業績の小型株が見直されています。

東証一部小型株指数の動き:2013年1月4日~2015年2月9日

(3)日経ジャスダック平均も上昇基調

日経ジャスダック平均の動き:2013年1月4日~2015年2月9日

(4)東証マザーズ変調

小型株指数は、総じて大型株指数より好調ですが、小型株指数の中で唯一、弱基調となっているのが、東証マザーズ指数です。

東証マザーズ指数の動き:2013年1月4日~2015年2月9日

東証マザーズ指数は、以下の3点から弱基調です。

  • 足元の三角もちあいで、上値を抑える線の下げ角度が、下値を支える線の上昇角度よりも急である。
  • 2013年・2014年の高値を抜けていない。
  • 成長期待から株価が急騰し、割高になっている銘柄が多いと考えられる。

(注:弊社アナリスト今中は、東証マザーズ上場のミクシィ(2121)については、売られ過ぎで割安と判断しています。
ミクシィ以外の東証マザーズ上場株については割高な銘柄が多いと考えています)

(5)東証マザーズ以外の小型株に注目

当面は、流れに逆らわず、東証マザーズ以外の小型株に、積極投資しても良いのではないかと考えています。東証マザーズ株に投資価値がないと考えているわけではありません。あくまでも、短期的な投資資金の流れを考えての判断です。

東証マザーズには成長期待が高いものの、足元の売上や利益水準が低い銘柄が多くなっています。日本企業の業績回復が本格化しない間に、成長期待の高い東証マザーズ株の人気が沸騰するのはよくあることです。2013年がそういう年でした。東証マザーズ指数の上昇率が、他の小型株指数と比べて突出して高くなりました。

ところが、2014年の後半以降、日本の企業業績の本格的な回復が視野に入ってきてからは、投資資金の流れが変わっています。投資資金は、マザーズ市場から流出して、相対的に割安なジャスダック・東証二部や東証一部上場の小型株に向かい始めています。当面、この流れが続くと考えられます。東証マザーズに集中投資している投資家は、投資資金の一部をジャスダックや東証二部、あるいは東証一部小型株に分散することも考えた方がいいと思います。