29日の日経平均は、189円安の17,606円でした。アメリカで4月以降に利上げが実施される見通しが広がり、28日にNYダウが前日比195ドル下がったことが嫌気されました。

私は、日経平均17,000円台は買い場と考えています。企業業績の拡大によって年末に20,000円は上昇すると予想しているからです。29日のNYダウは、225ドル高と反発しています。

(1)アメリカの利上げへの不安が再燃

28日のFOMC(アメリカの金融政策決定会合)声明文が物議をかもしています。「相当な期間、緩和的状況を続ける」という文言がなくなったからです。今回のFOMCの注目は「相当な期間」という文言が残るかどうかにありました。

昨年10月に米FRB(アメリカの中央銀行)は量的金融緩和(市中に出回るマネーの量拡大)を終了しました。ただし、ゼロ金利政策(FF金利を0~0.25%に誘導)は継続しています。FRBは、「将来的にゼロ金利解除が必要」との認識を示しているので、それがいつになるかが市場の関心事となっています。

昨年12月のFOMC声明文には「相当な期間、緩和的状況を維持」の文言が残っていました。イエレンFRB議長の会見で「相当な期間」の意味を問いただした記者がいました。その回答から「1-3月には利上げはない」との解釈が広がりました。

今回のFOMCで「相当な期間、緩和を維持」の文言が残れば、「4月まで利上げはない」との解釈が広がるところでした。ところが、その文言がなかったので、市場は早ければ4月28・29日のFOMCでの利上げを警戒する必要が生じたわけです。

(2)Don't Fight The FED(FEDと戦うな)と身構える投資家

これはアメリカの相場格言です。「FEDが金融を引き締める時、株は下がるから、買い向かってもだめ。FEDが金融を緩和する時、株は上がるから、素直に買っていこう」という意味です。米国株は、金利に敏感でした。中央銀行の金融政策に、アメリカの投資家は過敏に反応します。

近年は、アメリカの金融政策が世界中の金融市場に影響を与えます。ドルは世界中の金融取引で使用されるからです。アメリカの金融が引き締まると、世界の金融が引き締まります。それで、世界的に「リスクオフ」ムードが広がり、世界中の株が下がると考える人がたくさんいます。

(3)アメリカで利上げがあっても、日本の景気・企業業績の改善基調は変わらないと予想

アメリカで利上げの思惑が出る時、実際に利上げが実施される時に、世界的に株が下がる可能性があります。ただし、私は、そこが日本株の買い場になると思います。それには2つの理由があります。

  • 利上げがあってもアメリカの緩和的状況はあまり変わらないと予想
    アメリカで、インフレ率の低下が続いています。原油急落によって、今後さらにインフレ率が下がる可能性が出てきました。ゼロ金利の解除はあると思いますが、利上げは2~3回で打ち止めになると思います。過去の経験則から、「一旦利上げが始まると一定期間利上げが続き2%くらい短期金利が引き上がる」と考える人もいますが、私は、今回はその経験則は当たらないと思います。
    世界的なインフレ率の低下は「構造的」です。アメリカの景気が好調で利上げが必要と言われますが、それは「循環的」変化です。次にアメリカの景気が悪化する時は、日本やドイツのように、長期金利が一段と低下する可能性があります。構造的にインフレ率が下がってきているので、米FRBはゼロ金利を解除する必要はないと私は考えています。
  • 円安・資源安・米景気好調のトリプルメリットが日本の企業業績を拡大させる
    いろいろな不安はあっても、日本の企業業績は順調に拡大すると予想しています。

(4)今年の日本株投資戦略のポイント

年初来、このレポートでお伝えしてきた、今年の日経平均見通しと投資戦略のポイントは以下の通りです。

  • 日経平均は、年末に20,000円へ上昇と予想
  • 今年は、投資家を不安にさせるイベントがいろいろ起こりそう。その際、日経平均は急落する。
  • 今年想定されるネガティブ・イベントは、逆原油ショックへの不安、欧州の不安、世界各地の地政学リスク、アメリカ利上げの思惑の4つです。

年初から、日経平均は、まさに逆原油ショック不安・欧州(ギリシャ)不安、中東・ウクライナの地政学リスク、アメリカ早期利上げの思惑で、上値を抑えられています。私は、この水準は買い場と判断しています。