27日のNYダウが291ドル安と大きく下がったことを受け、今日の日経平均は反落が予想されます。発表中の10-12月決算が弱めであることが嫌気されています。

今日は、銀行株の投資について考えていることを書きます。日本の銀行株は成長性が高いと言えず、投資対象として人気が出にくい面があります。一方、収益が安定的で、配当利回りが魅力的な銘柄が多いことは注目できます。

(1)大手銀行株には、配当利回りで注目できる銘柄が多い

 
コード 銘柄名 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍
8411 みずほFG 200.0 3.5% 8.9 0.68
8304 あおぞら銀行 422.0 3.5% 11.8 1.34
8316 三井住友FG 4,170.5 3.1% 8.1 0.71
8306 三菱UFJ FG 642.8 2.8% 9.4 0.67
8309 三井住友トラストHLDG 421.6 2.6% 11.1 0.77
8308 りそなHLDG 600.5 2.5% 7.3 0.98

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

配当利回りは、確定利回りではありません。業績や財務内容が悪化すれば、配当が減らされることもあり得ます。不動産バブル崩壊後の1992~2002年まで日本の銀行は不良債権問題に苦しんでいました。当時の銀行は財務に不安がありましたので、銀行株を配当に注視して投資することはできませんでした。

当時と比べると、日本の大手銀行の財務内容は格段に改善しました。かつて13行あった都市銀行は合併によって3メガバンクに集約されました。成長性を期待することは難しいですが、安定性では評価できるようになったと考えます。

上の表に出ている通り、3%前後の配当利回りの大手銀行は、配当利回りに注目した長期投資の対象として魅力的と考えます。

(2)銀行業界の収益環境

日銀の異次元金融緩和によって、長期金利(10年もの新発国債利回り)が0.3%前後まで低下しています。長短金利のスプレッド(長期金利と短期金利の差)が小さくなってきていることは、銀行業界全体にとって深刻な問題です。長短金利のスプレッドが縮むことによって、預貸金利ザヤに一段と縮小圧力がかかるからです。

一方、日本の大手銀行、特に3メガバンク(三井住友FG、三菱UFJ FG、みずほFG)にとって、以下3分野は、将来の拡大が期待されるところです。

  • 海外事業を拡大:アジアの地場銀行への買収・出資を積極化して、海外での事業拡大をはかっています。
  • ノンバンク業務を拡大:証券・リース・消費者金融などノンバンク業務を拡大し、ユニバーサルバンクとして成長を目指しています。消費者金融業務は、ようやく過払い利息の返還請求がピークアウトして、利益が回復する局面に入りつつあると考えています。
  • 手数料ビジネスを拡大:投資信託の販売など手数料ビジネスの拡大を目指しています。

(3)不良債権問題に苦しむ欧州の銀行に対して競争優位

欧州の銀行は、不良債権問題で苦しんでいます。欧州はようやく景気が底入れしつつありますが、まだ、不良債権問題は解決していません。日本の銀行は、1990年代に、海外事業を縮小せざるを得ませんでした。それは、国内で不良債権問題をかかえていたからです。

今は、立場が逆転しています。日本の銀行は、欧米やアジアで業務を拡大するとき、財務内容で優位にたっていることが、業務拡大に優位に働きます。