21日の日経平均は、85円安の17,280円でした。過激派組織「イスラム国」が邦人殺害を警告する動画を配信したこと、為替が1ドル117円台の円高にふれたことが嫌気されました。

今日の日経平均は、材料待ちで方向感の定まらない展開と予想されます。今晩発表が予想されるECB(欧州中央銀行)の追加緩和策に注目が集まっています。

(1)ECB(欧州中央銀行)が追加緩和を発表の見込み

欧州経済はデフレ入りしつつあり、今晩、ECBが追加金融緩和を発表することは、ほぼ確実と考えられています。その内容次第で、世界の株・為替に大きな影響が及ぶ可能性があり、注目が集まっています。発表は日本時間では22日夜になるので、22日の日経平均は、材料待ちで大きくは動きにくいところです。

(2)ECBの発表内容について、現時点で想定されるシナリオ

<シナリオ1>ECBが、ユーロ各国の国債を買い取る追加緩和実施を発表するものの、詳細(緩和規模・買い取る国債の種類別買い取り額)は発表されない
25日に行われるギリシャの議会選挙で、野党シリザが政権を奪取して緊縮財政放棄を宣言する可能性があります。ギリシャの選挙結果を見るまで、ギリシャ国債をECBによる買い取り対象とするべきか否か、決めにくいという事情もあります。追加緩和の詳細発表は、来週に持ち越しとなる可能性があります。
この場合、株式市場・為替とも発表内容を消化不足となり、方向感の定まらない相場が続くことになると思います。来週に緩和の中身が発表されるのを待つ展開です。
<シナリオ2>ECBが追加緩和を発表するが、規模が小さく市場の失望を誘う
ユーロ圏で最大の経済規模のドイツが追加緩和に反対していることから、追加緩和実施が発表されても、買い取り規模が市場の期待に届かない可能性もあります。
この場合は、欧米株式は失望から下落し、日本株にもネガティブな影響が及びます。為替市場では、ユーロが買い戻されることになります。
<シナリオ3>ECBが期待通り、あるいは期待を上回る大規模の追加緩和を発表
欧米株式が、緩和を好感して上昇する見込みです。これは日本株にもポジティブです。ただし、為替市場でユーロが全面安となり、円が対ユーロ・対ドルで大幅に上昇すると、日本株にネガティブな影響が及ぶ可能性もあります。

(3)地政学リスクにも改めて注意が必要

1月7日にフランスで風刺週刊誌「シャルリー・エブド」社が襲撃され12人が死亡するテロ事件がありました。20日には「イスラム国」から邦人殺害を警告する動画が配信されました。地政学リスクが株式市場に悪影響を及ぼす可能性を注意する必要が出てきています。

私は、今年は企業業績の拡大を織り込み、日経平均は年末に20,000円に上昇すると予想しています。ただし、今年は、株式市場の参加者の肝を冷やすイベントが続く可能性があります。急落・急騰を繰り返す、荒い値動きが予想されます。

急落のきっかけとなり得るイベントとして、以下の4つを頭に入れておく必要があります。

  • アメリカ利上げ
  • 原油急落が引き起こす「逆オイルショック」
  • 欧州の不安
  • 世界各地の地政学リスク