15日の日経平均は312円高の17,108円でした。日本の景気・企業業績はこれから回復が徐々に鮮明になっていくと見ており、日経平均で17,000円前後は買い場と判断しています。

ただし、今日の日経平均は下げて始まりそうです。スイス・フランの歴史的な急騰に引きずられ、海外で円高が進んだからです。為替は、日本時間16日午前6時現在、1ドル116.42円、CME日経平均先物(円建て)は、16,805円に下がっています。

(1)スイス・フランが対ユーロで歴史的な急騰、つれて円高が進む

スイス国立銀行(中央銀行)は15日、スイス・フランが対ユーロで上昇することを防ぐために設定していた上限(1ユーロ=1.20スイス・フラン)を撤廃すると発表しました。これまでは、上限を超えてスイス・フランが高くなることを防ぐために、無制限の為替介入をすると宣言していましたが、ついに為替介入を放棄して、「為替を自然体に任せる」ことにしたわけです。

これを受けて、為替市場でスイス・フランが急騰しました。対ユーロで一時30%高の1ユーロ=0.92スイス・フランをつけました。1日で主要通貨が30%も変動するのは、きわめて珍しいことです。

スイス・フランの急騰を見て、ドル円為替レートも円高に動きました。日本円とスイス・フランと、今はもう存在しない西ドイツマルクは、同じ方向に動く傾向が強い通貨でした。信用が高い通貨であるスイス・フランが買われたことから、同じように信用が高い通貨である日本円も同時に買われたことになります。

(2)日本の企業業績は今・来期と増益が続く見込み

株は、短期的には需給や材料で動きます。ただし、長期的にはファンダメンタル(景気・企業業績)で動きます。日経平均は年初から急落しましたが、まだ上昇トレンドは崩れていないと考えています。

日経平均週足:2013年1月~2015年1月15日

楽天証券経済研究所では、全産業(除く金融)ベース経常利益(東証一部上場、3月決算企業)が、今期(2015年3月期)+9%、来期(2016年3月期)+11%増益すると予想しています。日本は、トリプルメリット(円安・原油安・米景気好調)の追い風を受けて、企業業績が続くと見ています。

(3)「下げたら買い、上がったら売り」の単純な戦略が上手くいっている

昨年の個人投資家の日本株売買動向を見ると、「下げたら買い、上がったら売り」が鮮明でした。それが、きわめて有効に機能していました。ここで、前半急落し、後半に急騰した昨年10月の売買を振り返ってみましょう。

2014年10月の日経平均推移と、外国人・個人投資家の売買動向

  1週 2週 3週 4週 5週
外国人 ▲ 1,947 ▲ 3,370 ▲ 4,076 257 5,364
個人 3,542 2,931 3,875 ▲ 692 ▲ 8,276

(出所:外国人・個人の売買動向(売買代金差額、二市場1・2部)は東京証券取引所)

10月第1~3週に、日本株が急落する中、個人投資家は1兆円あまり買い越しています。ところが、日銀の追加緩和を受けて急騰した第5週には、もう8,000億円以上、一気に売り越しています。個人投資家の売買タイミングは、非常にうまかったと言えます。下げた時に買って上げた時に売る戦略が、とても有効でした。

1月から日経平均は下がっていますが、昨年10月と同様に、下げ局面では、外国人が売って、個人が買い越しているパターンが多いです。私は、昨年10月と同様、大きく日経平均が下がっている今のような時が、買い場と予想しています。