年末が接近しています。今期(2015年3月期)もあと残すところ、第4四半期(1-3月)だけとなりました。

今日は、現時点で公表されている会社予想利益を、市場予想(アナリスト予想利益の平均)と比較し、かい離の大きい銘柄を抽出しました。自動車・電機に、利益の上ぶれが期待される銘柄が多い一方、石油関連株に利益の下ブレが懸念される銘柄があります。

(1)今期業績予想の上方修正が期待されている銘柄群

以下の方法で、今期経常利益の市場予想が会社予想を上回る銘柄群をピックアップしました。

  • 集計対象:東証LARGE100(大型株)に属する3月期決算企業で、今期経常利益の予想を公表済みの企業。
  • 市場予想と比較:今期経常利益のIFISコンセンサス予想(アナリストが予想する利益の平均)を、市場予想としました。
  • 一時損益の変動が大きく市場コンセンサスの信頼性が低い銘柄は除去
 
 

2015年3月期経常利益の市場予想が会社予想を7%以上、上回る20銘柄

(金額単位:億円)
コード 銘柄名 会社予想 市場予想 かい離率
7974 任天堂 350 494 41%
9202 ANA HLDG 550 641 17%
7261 マツダ 2,100 2,384 14%
9532 大阪瓦斯 1,000 1,130 13%
7011 三菱重工業 2,300 2,594 13%
6752 パナソニック 1,600 1,797 12%
4502 武田薬品工業 1,400 1,566 12%
1963 日揮 590 660 12%
7269 スズキ 1,400 1,566 12%
8795 T&D HLDG 1,490 1,654 11%
6594 日本電産 1,030 1,143 11%
6502 東芝 2,500 2,772 11%
6501 日立製作所 5,300 5,846 10%
7201 日産自動車 6,200 6,835 10%
7270 富士重工業 3,700 4,065 10%
6981 村田製作所 1,750 1,915 9%
7203 トヨタ自動車 27,000 29,536 9%
9531 東京瓦斯 1,370 1,495 9%
8316 三井住友FG 12,000 13,057 9%
7202 いすゞ自動車 1,750 1,879 7%

(出所:12月25日時点のIFISコンセンサス予想より楽天証券経済研究所が作成)

(注:金額は億円以下四捨五入、SEC基準またはIFRS採用企業については、連結税前利益を経常利益として集計)

自動車株には、マツダ(7261)・スズキ(7269)・日産自動車(7201)・富士重工業(7270)・トヨタ自動車(7203)など、今期利益が会社計画を上回る可能性の高い銘柄が多数あります。自動車株は、来期(2016年3月期)も増益が期待できる銘柄が多く、投資対象として有望と考えています。

現在、タカタのエアバック大量リコール問題が、日系自動車メーカー全体への不安につながり、自動車株の上値を抑えています。タカタ問題の処理が一巡すれば、改めて業績拡大を評価して自動車セクター全般に上値を追う展開になると予想しています。

また、個別では、任天堂(7974)の今期市場予想が、会社予想を41%上回っていることが注目できます。円安進行で為替差益が発生することに加え、秋以降発売された3DS用ゲームソフトの販売が軒並み好調で、今期業績の上ブレ期待が高まっています。久々に任天堂の復活を感じさせる展開となっています。

(2)今期業績予想の下方修正が懸念されている銘柄

同じ方法で、市場予想が会社予想を下回る銘柄を抽出しました。

 

2015年3月期経常利益の市場予想が会社予想を6%以上、下回る4銘柄

(金額単位:億円)
コード 銘柄名 会社予想 市場予想 かい離率
5020 JX HLDG 1,800 1,228 -32%
4523 エーザイ 495 391 -21%
8725 MS&ADインシュアランスHD 2,300 2,013 -12%
1605 国際石油開発帝石 6,560 6,171 -6%

(出所:12月25日時点のIFISコンセンサス予想より楽天証券経済研究所が作成)

(注:金額は億円以下四捨五入、SEC基準またはIFRS採用企業については、連結税前利益を経常利益として集計)

の業績下ぶれのリスクが高くなっています。国際石油開発帝石(1605)、JX HLDG(5020)原油が急落したことによって、