先週の日経平均は、1週間で461円(2.6%)上昇し17,920円となりました。円安・米国景気好調・原油安などを好感し、景気敏感株が上昇を主導しました。

1ドル121.45円まで進んだ円安を好感し、今週の日経平均は、18,000円を回復することが予想されます。CME日経平均先物(円建て)は先週末に、18,045円まで上昇しています。今週も、鉄鋼・海運・自動車・機械・証券などの景気敏感株が上昇を牽引すると予想しています。

(1)日経平均は、リーマン・ショック前の高値奪回が視野に

日経平均月足:2007年1月~2014年12月(5日まで)

(2)日本株を押し上げる要因

  • アメリカの景気好調が鮮明なこと
  • 円安が一段と進み、日本の景気・企業業績拡大の期待が高まったこと
  • 原油下落で日本は恩恵を受けること
  • 衆院解散総選挙では自民党勝利が予想されること
  • 中国が金融緩和に動き、中国株が急騰していること
  • 欧州でも年明けには追加金融緩和が期待されること

(3)アメリカの景気好調が鮮明、11月雇用統計はポジティブ・サプライズ

アメリカの非農業部門雇用者増加数:2013年1月~2014年11月

(出所:米労働省)

米景気動向をよく表し、注目の高い『非農業者部門の雇用者増加数』は、11月は事前予想の23万人増を大幅に上回る32.1万人増でした。9月・10月の雇用者増加数も、上方修正されています。10カ月連続で、景気好調と言われる20万人以上の増加を達成しています。また、完全失業率も低水準が続いています。

アメリカの完全失業率:2013年1月~2014年11月

(出所:米労働省)

(4)米景気好調でも、米インフレ率は落ち着いている

アメリカの消費者物価指数(総合指数)前年比:2013年1月~2014年10月

(出所:米労働省)

アメリカの景気が強過ぎると、利上げが早まり、世界の株式が調整するリスクが高まります。ただし、当面は、それはあまり心配しなくてもよいと考えます。米景気好調にもかかわらず、米インフレ率が落ち着いているからです。原油安とドル高による物価引下げ圧力が働いているためです。

米景気好調でも、すぐに金融引き締めが必要になる状況になく、株にとって理想的な環境が続きそうです。

(5)日本株は来期PERで割安と判断

日経平均が既に18,000円近くまで上昇し、「既に割安でない」と考える人もいますが、私は来期の予想PER(株価収益率)で見て割安と考えています。

東証株価指数のPERは、会社が予想する今期(2014年3月)ベース利益で計算すると現在17.6倍に達しています。ただし、楽天証券経済研究所で計算する来期(2015年3月期)の利益に基づくPERは15倍です。私は、来年12月に日経平均は20,000円まで上昇すると予想していますが、それは来期PERで16.8倍まで買われるという前提に基づく予想です。