3日の日経平均は57円高の17,720円でした。鉄鋼株(新日鐵住金(5401))や証券株(大和証券グループ本社(8601))などの上昇が目立ちました

(1) バリュー株に物色が向かう

最近、株式市場に新しい物色の流れが出始めています。これまで人気が高かった成長株の上値がやや重くなり、代わってあまり人気がなかったバリュー株(PERやPBRなどの株価指標で見て割安な株)の上昇が目立ち始めています。具体的には、鉄鋼・海運・ゴムなどの割安な景気敏感株が見直され始めています。

これは、株式市場にとって健全な流れと考えています。というのは、人気株ばかりが買われて、不人気株に物色が向かわない二極化相場が続くと、いずれ相場全体に過熱感が出て、上昇が長続きしなくなるからです。 

2014年に入ってからの株価上昇率が相対的に低かった鉄鋼などのバリュー株が、増益モメンタムが強くなってきたことを好感して、新たな循環物色の流れに乗っています。こうした循環物色が起こることで、日経平均全体の上値余地も高まると考えています。

(2)鉄鋼株に強気を継続

今、上昇を始めたバリュー株の中で、私が特に有望と考えているのが鉄鋼株です。今来期と二桁増益が期待できる銘柄が多く、ここからの上値余地も大きいと判断しています。

詳細は、10月 29日のレポート「JFEはポジティブ・サプライズ、鉄鋼株に強気確認」をご参照ください。

鉄鋼原料(鉄鋼石・石炭)が大きく値下がりしているにもかかわらず、鉄鋼製品の価格があまり下がらず、結果としてメタル・スプレッド(鉄鋼製品と鉄鋼原料の価格差)が拡大していることが、鉄鋼業の増益モメンタムを強くしています。

主要鉄鋼株の株価バリュエーション:12月3日時点

コード 銘柄名 株価:円 PER:倍 PBR:倍 配当利回り
5411 ジェイエフイーHLDG 2,653.5 12.4 0.86 1.5%
5401 新日鐵住金 318.7 11.5 1.03 1.6%
5406 神戸製鋼所 204 10.9 1.05 2.0%
5413 日新製鋼 1,176 9.7 0.60 1.3%
5423 東京製鐵 658 8.5 1.20 0.6%

(出所:12月3日時点、楽天証券経済研究所が作成)