25日の日経平均は、50円高の17,407円でした。円安でメリットを受けるゴム・自動車・電機・機械などの値上がりが目立ちました。

(1) 円安と米景気好調の恩恵で輸出産業復活へ

<ドル円為替レートと購買力平価(企業物価)の推移:2007年1月1日~2014年11月25日>

(出所:公益財団法人国際通貨研究所より楽天証券経済研究所が作成)

日本の輸出産業は、ドル円為替レートが、購買力平価(企業物価)と比較して、円高になると競争力を失います。リーマンショック後の2008年~2012年は購買力平価を超える円高が進んだために、日本の輸出産業だけでなく、日本経済全体がダメージを受けました。

アベノミクスがスタートした2012年12月から円安が急速に進みました。ドル円為替レートは2013年にまず購買力平価まで戻りました。そこで日本の輸出産業は競争力を回復しつつあります。

2014年9月以降、為替は、購買力平価を突き抜けて円安が進んでいます。この効果で、2015年は日本の輸出産業の競争力が一段と高まると考えられます。

<参考>購買力平価とは

ビッグマックレートが有名。同じもの(たとえば、マクドナルドのハンバーガー)がいくらで売られているかを日米で比較し、そこから均衡為替レート(購買力平価)を求めます。たとえば、アメリカで1ドルのハンバーガーが日本で100円で売られているのならば、1ドル100円を均衡レート(購買力平価)と考えます。

ここでは、ハンバーガーではなく、企業が取引する財のバスケット価格を日米で比較することから求められる購買力平価(企業物価)を用いています。日本の輸出企業の競争力を見るのには、購買力平価(企業物価)と実際の為替レートを比較するのが有効です。データは公益財団法人国際通貨研究所が算出していたものを使っています。

(2) 円安メリットは、デメリットよりも大きい

円安は、日本経済にメリットだけでなく、デメリットも与えますが、現状では、メリットの方がはるかに大きいと思います。

  • 円安のメリット:輸出競争力の回復→輸出の増加→よいインフレ(需要牽引型インフレ)
  • 円安のデメリット:輸入物価の上昇→悪いインフレ(コスト・プッシュ・インフレ)

円安のデメリットは、原油価格が急落した恩恵によって、かなり相殺されます。実際、消費税引き上げ影響を除く、日本の消費者物価指数の上昇率は、足元じりじり低下しています。この環境下で、足元の円安は日本経済に大きなメリットをもたらすと考えます。

(3) 円安メリットの大きい自動車・ゴムの参考銘柄

コード 銘柄名 株価:円 PER:倍 PBR:倍 配当利回り
5105 東洋ゴム工業 2,348 10.6 2.05 1.7%
5108 ブリヂストン 3,980.5 11.0 1.74 2.0%
7203 トヨタ自動車 7,190 12.2 1.58 2.6%
7261 マツダ 3,015.5 11.3 2.39 0.3%
7270 富士重工業 4,300.0 13.9 3.85 1.4%

(楽天証券経済研究所が作成)