2009年6月本決算は2ケタ減益、今後の収益力改善を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02689 玖龍紙業(控股)有限公司(ナインドラゴンズ・ペーパー・ホールディングス) 10.52 HKD
(09/15現在)
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玖龍紙業の2009年6月本決算の純利益は、前年比11.5%減の16億6000万元にとどまった。シニアノート(優先債券)買戻益5億9400万元をはじめとする一回性損益を除外した場合、同期のコア利益は同39%減の11億元。この数字はBOCIの予想を14%上回る一方、市場コンセンサスを7%下回る水準となった。BOCIは同社が海外から国内へ販路をシフトし、国内市場でシェアを伸ばした手腕を評価。さらに同期の販売量が予想を上回ったとし、2010年度(10年6月通期)、11年度(11年6月通期)の予想純利益をそれぞれ21%、34%上方修正した。また、向こう2年間にわたる収益力の向上を見込み、目標株価を大幅に引き上げるとともに、同社株価に対するこれまでの慎重な見方を中立的に引き上げた。

09年度に売上原価の46%を占めた再生用の古紙(段ボール紙)の価格は現在1トン当たり177米ドルと、底値水準にあった昨年11月の同86米ドルから大幅に上昇した。一方、同社生産のライナーボードおよび段ボール中間製品の価格は、この間にそれぞれ1トン当たり1900元から2400元へ、1600元から2100元へ上がっている。BOCIはこの先のスケールメリット拡大を見込み、09年度に435元だった同社の1トン当たり粗利益が、10年度には485元、11年度には546元、12年度には606元と、上向きに推移すると予想している。ただ、海外市場での需要低迷を考慮し、07年度に記録した同753元の過去最高水準には届かないとみている。

一方、BOCIは同社の余剰生産力に対して警戒感を示している。08年度には海外市場が売上全体の80%余りを占めたことが理由。中国国内のパルプ・紙業界は供給過剰傾向にあり、国家発展改革委員会は今年上期、同業界の年産200万トン分の余剰生産力を2011年までに削る方針を明らかにした。同社は国内市場の統合局面で成長機会を捉えるため、年産175万トン規模の生産増強プロジェクト(設備4台を導入)を再開する計画であり、来年末までの操業開始を目指す。BOCIは同社の年産能力が今年6月末の775万トンから、2012年6月には1040万トンに拡大するとみている。なお、BOCIの試算によれば、同社の設備稼働率は09年度上期の56%から下期には79%に改善し、これがスケールメリットの拡大効果を生んだという。

同社の純負債比率は09年度期末に82.4%と、前年同期の94%から改善傾向を示した。運転資金の増加や過去数年間と比べた設備投資の抑制を受け、営業キャッシュフローが改善したことが背景。BOCIは同社の純負債比率が11年度期末までに66%に低下するとみている。また、向こう3年間の設備投資については、25億元、15億元、5億元を予測。同社の営業キャッシュ・インフローが、現時点で決定している生産増強計画を支えるのに十分な規模に達しているとの見方を示している。