20日の日経平均は12円高の17,300円でした。1ドル118円台まで円安が進んだ割には、上値がやや重くなっています。10月末以降、日銀の追加緩和から解散総選挙まで、あわただしく買い材料が飛び出して日経平均は急騰しましたが、目先は、材料出尽くしとなる可能性もあります。

(1)市場の注目は、景気・企業業績へ

材料だけで急騰急落する局面が続きましたが、外国人投資家の強引な買いや売りは収束しつつあると考えられますので、今後は、日経平均は少し落ち着きを取り戻すでしょう。今後は、景気動向や個別企業の業績を見極めながら売買するオーソドックスな流れに戻ると考えています。

(2)これまで人気のなかったバリュー株(割安株)に改めて注目

ここは、次の上昇相場に向けて、有望銘柄をじっくり選別して投資していくべきと考えています。私は、バリュー株に注目しています。

株式市場が上昇する時、2つのパターンがあります。

  • 二極化相場:人気銘柄がいつまでも上がり続け、不人気銘柄がほとんど上がらない相場。
  • 循環物色:人気銘柄が先行して上昇した後、出遅れ株にも遅れて人気が出て上昇する相場。

私は、次の上昇局面では、これまで人気のなかったバリュー株の中から、改めて人気が出てくるものがあると予想しています。つまり、循環物色が起こると考えています。具体的には、鉄鋼・海運・商社に注目しています。

(3)出遅れの鉄鋼株

鉄鋼株は、2013年に大きく上昇した後、2014年は株価が不振でした。世界的に鉄鋼産業の業績が良くない影響を受けてきました。ただし、日本の鉄鋼業は、利益率が改善して業績改善が続くと考えています。PERなどの株価指標が低く、ここから投資妙味が高いと思います。新日鐵住金(5401)、ジェイエフイーHLDG(5411)に注目しています。

 

日経平均・新日鐵住金・ジェイエフイーHLDGの株価の相対的値動き
2013年1月~2014年11月20日

(注:2012年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

(4)大手総合商社にも注目

今年は、資源価格が軒並み急落しました。資源事業を幅広く行っている総合商社には逆風です。ただし、大手総合商社は、住友商事(8053)以外は、今年も業績は堅調です。非資源事業の利益が拡大していること、海外で稼いでいる外貨建て利益が円安によって円換算額が膨らんでいることが、貢献しています。来年は、非資源事業の拡大が改めて見直されると予想しています。三菱商事(8058)、三井物産(8031)などに注目しています。

 

日経平均・三菱商事・三井物産の相対的値動き
2013年1月~2014年11月20日

(注:2012年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

(5)海運株にも注目

海運不況が続く中で、2007年(前回の海運ブームのピーク)に大量発注した船舶の竣工が続いてきたことが、不況からの脱却を難しくしていました。2007年に発注した船の竣工はようやくなくなり、今後は世界的に船舶需給が改善します。まず、定期船事業から利益が改善しています。来年以降に、不定期船事業の利益改善も見込みます。日本郵船(9101)に注目しています。

(注:2012年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

日経平均・日本郵船の相対的値動き
2013年1月~2014年11月20日