9月中間決算がほぼ出揃いました。上期決算は、日本が「ミニ景気後退」状態にあったにもかかわらず、好調でした。ただし、下期業績を慎重に見る企業が多く、通期(2015年3月期)の業績予想は、相変わらず低く据え置かれています。1月頃に業績予想の上方修正が増えると考えられます。

(1)上期業績が計画上ぶれでも、通期予想を据え置く企業が多かった

7-9月GDPが前期比年率1.6%減で、上半期(4-9月)の日本は「ミニ景気後退」状態にあったことがわかりました。それでも、上半期の企業業績は計画を上ぶれる企業が多く、好調でした。

ところが、下期業績を非常に慎重に見る企業が多く、通期予想の上方修正はあまり多くありませんでした。

その結果、通期予想は低いままです。東証一部上場で3月決算の主要807社について、業績予想を集計したのが、以下の表です。

<主要807社 2015年3月期経常利益の前期比変化率>

  会社予想 市場予想 楽天証券経済研究所予想
主要 807社 0.015 +5.5%
内 金融を除く 764社 0.028 +7.3% +12%
内 金融 43社 ▲6.8% ▲5.4%

(注:市場予想は11月18日時点のIFISコンセンサス予想、会社資料等から楽天証券経済研究所が作成)

(2)為替の前提条件が保守的

9月までの国内景気が不振であったことから、企業は下期業績について、過度に慎重スタンスです。輸出企業の為替前提にも、それは表れています。日立製作所(6501)・三菱電機(6503)は、2015年3月期通期の業績予想の前提為替レ-トを1ドル100円としています。トヨタ自動車(7203)・ホンダ(7267)・日産自動車(7201)は1ドル104円前提です。足元のレート(1ドル116-117円)と比べて、かなり保守的な前提と言えます。

(3)上半期の経常利益の進捗率は高い

主要807社で集計すると、上期経常利益は、通期経常利益(会社予想)に対して51.4%の進捗となっています。進捗率は総じて会社計画を上回っており、通期業績の上方修正が期待されます。

上半期の進捗率は、50%以下で妥当のところ、今期は51.4%も進捗しており、通期での利益上方修正が期待されます。これには、3つの理由があります。

  • 下半期の方が季節的に売上・利益が多くなる企業が多い。通常は、上半期の進捗率は50%以下となる。
  • 今年度は、4-6月の業績が消費増税の影響で大きく落ち込んでいる。その分、今年度は、上半期の利益構成比が例年以上に小さくなって当然。
  • 為替が一段と円安になった効果が、下半期の利益上乗せ要因になる

以上の分析などから、楽天証券経済研究所では、金融を除く主要764社の今期経常利益は、前期比+12%に上ぶれすると予想しています。