6日の日経平均は、144円安の16,792円でした。目先、16,500円辺りまで調整する可能性があると考えています。

ただし、これから日本の景気・企業業績が徐々に回復に向かい、来年に日経平均は18,000円をつけると予想していますので、押し目は買い方針でよいと思います。業績モメンタムが強くなってきている鉄鋼株は、押し目買い候補に含めていいと判断しています。

(1)日経平均は、目先は波乱含み

 

日経平均日足:2014年9月1日~11月6日

日経平均は、目先、16,500円まで調整する可能性があります。ただし、16,500円より下へ大きく下がる可能性は低いと考えられます。これは、上の日経平均日足を見て感じることです。

10月からの動きを、①②③④の4つに区分して分析します。

  • 外国人投資家のパニック売りで急落
  • 外国人のパニック売りが収束。個人投資家や公的年金の買いで反発。
  • 日銀追加緩和という強烈な買い材料が飛び出し、外国人の買いで力強く上昇
  • 外国人の「パニック買い」で窓をあけて急騰するも国内投資家の利益確定売りに打ち返される。徐々にパニック買いは収束

①②の説明は東証の需給統計から確認できていることですが、③④の説明は、現時点では私の推測によるものです。

また新たな買い材料が飛び出さない限り、日経平均は11月4日の日足があけた窓(16,533円-16,720円)を埋めに行く(16,533円まで下がる)可能性があると見えます。

ただし、16,500円より下へ大きくは下がらないと思います。③の陽線によって力強い上昇モメンタムが発生しているからです。

(2)波乱材料は、7日夜に発表される米雇用統計

新たな材料として注意が必要なのは、今晩、米国で発表される10月の雇用統計です。最近出ているアメリカの景気指標には強いものが多く、雇用統計も「米景気好調」を示す内容になると予想しています。問題は、それに対する市場の反応です。

引き続き、米景気好調→NY株高となるか、米早期利上げ懸念強まる→NY株安となるかによって、日本株への影響も異なります。

(3)業績改善が始まっていて株価が割安と考えられる鉄鋼株に注目

私は、9月中間決算を発表したジェイエフイーHLDG(5411)、日新製鋼(5413)、共英製鋼(5440)の決算説明会に出席しました。3社とも株価はPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)などの株価指標から見て割安と考えられ、国内鉄鋼事業の利益が力強く回復しつつあるので、押し目では投資していきたい銘柄と考えています。

3社の共通点は、メタル・スプレッド(鉄鋼業の利ざや、製品価格と原料価格のスプレッド)が広がったことです。弱気の見通しでは、メタル・スプレッドの縮小が予想されていました。ジェイエフイーHLDG(5411)、日新製鋼(5413)などの高炉メーカーでは、原料となる鉄鉱石・石炭の価格が下落している割には、製品価格があまり下がらなかったので、利ざやが拡大しました。

共英製鋼(5440)などの電気炉メーカーでは、原料となる鉄スクラップの価格が下がる中で、製品価格があまり下がりませんでした。ただし、電気炉で使う電力料金の値上げはマイナス要因となっています。

詳しい説明は、10月29日の私のレポート「JFEはポジティブ・サプライズ、鉄鋼株に強気確認」をご参照ください。

(出所:PER・配当利回りはアイフィス・コンセンサス予想から計算、楽天証券経済研究所が作成)

  コード 銘柄名 株価:円 PER:倍 PBR:倍 配当利回り
1 5411 ジェイエフイーHLDG 2,268.5 10.9 0.77 2.1%
2 5401 新日鐵住金 295.9 10.9 1.01 1.9%
3 5406 神戸製鋼所 176 11.2 0.96 2.2%
4 5413 日新製鋼 1,026 7.8 0.49 2.2%
5 5423 東京製鐵 575 8.3 1.11 0.7%
6 5440 共英製鋼 1,820 15.6 0.65 1.2%

<参考>主要鉄鋼株の株価バリュエーション