6月本決算で85%減益、利益見通し下方修正

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00315 数碼通電訊集団(スマートーン) 6.03 HKD
(09/03現在)
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スマートーンの2009年6月本決算は、純利益(経常ベース)が前年比85%減の4100万HKドルにとどまった(EPS0.074HKドル)。これはBOCIの予想を約20%下回り、マーケットの予想の下限に当たる水準。BOCIは中間期に5200万HKドルの純利益を計上していたことに言及し、下期には実質1500万HKドルの赤字に転落したと指摘している。

通期の加入者純増数は4万4000人で、期末の加入者総数は116万人(うち3万人はモバイルブロードバンド加入者)。香港の携帯電話市場における価格競争の激化や世界不況を受けたローミング収入の落ち込み、さらにARPU(契約者1人当たり月額収入)の7.2%減少などが響いた。その結果、サービス部門の収入は同5.2%減。また、設備販売収入も販売量の減少と価格低下を受け、30%の落ち込みを示した。同社経営陣はローミング収入について「ここ2-3カ月は安定傾向に転じた」としながらも、引き続き慎重な見方。一方、地元市場の価格競争は今のところ収束する気配を見せていない。

同期には売上高が9.1%減少する半面、コストの減少率がわずか5.8%にとどまった。ネットワーク運営コスト(9%増)、人件費(4.4%)などの増大が背景。また、携帯端末向け補助金の負担増で、減価償却費も4%増加。EBITDA(金利・税引き・償却前利益)マージンは24%へ2.7ポイント縮小し、純利益率は1%強にとどまった。

マカオ事業の同期純利益は36%減(主力の香港は同86%減)。中国本土からの旅行者数の減少が影響した。マカオでの2G事業免許は2016年で失効し、その後更新できないため、同社は新たに3G免許を取得する方針。4つ目となる最後の3G免許をめぐって名乗りを上げているのは同社だけであり、BOCIは獲得できる可能性が高いと見ている。

一方、同期の設備投資は4億6500万HKドル。BOCIは今期(10年度)の設備投資を4億HKドルと予想している。期末の現預金保有高は10億6000万HKドル(前年同期は16億4000万HKドル)、1株当たりでは2HKドルとなり、BOCIは「財務は依然健全」との見方だ。また、年間配当は1株0.80HKドルで、配当性向は105%。BOCIは向こう2-3年にわたり、同社が全利益を株主に還元する方針を維持すると見ている。

同期決算が予想を下回ったため、BOCIは10年度、11年度の予想純利益をそれぞれ約40%、7%下方修正し、それぞれ6100万HKドル、1億2500万HKドルとした。今期の不透明要因として接続料をめぐる固定通信キャリアとの交渉を挙げながらも、合意内容次第では同社にやや有利となる可能性を指摘している。

BOCIは決算発表を受けて目標株価を引き上げる一方、同社株価に対する慎重な見方を継続した。香港の携帯電話事業にもはやハイリターンは期待しにくく、同社のROEが10年度に3.4%、11年度にも4.6%にとどまるとの見通しを示している。