15日の日経平均は137円高の15,073円と反発して、15,000円台を回復しました。ここからは買い場探しの局面に入ると判断しています。

(1)欧州景気に後退リスクが高まる

10月に「世界株安」の引き金となったのは、欧州経済への不安です。牽引役であったドイツ経済が失速、フランス・イタリアは景気後退色が強まりました。南欧諸国は、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和で債務危機を乗り越えてから、構造改革意欲が低下し、先行きの回復期待が低下しています。

欧州には、複数の構造問題があって、今や複雑骨折に近い状態です。ただし、日本は欧州経済とのつながりは、必ずしも深くありません。欧州景気が低迷しても、米景気が堅調ならば、日本へのマイナス影響は限定的と考えられます。

  • 欧州の銀行不良債権問題: リーマンショック後の不動産バブル崩壊で抱えた不良債権がまだ未処理です。
  • 過重債務国問題:PIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)と言われた国々が過重な対外債務を抱えている問題も未解決です。ECBの量的緩和で、今は小康状態を保っています。
  • ウクライナ問題: ウクライナの内戦をめぐって欧州諸国とロシアが互いに経済制裁を繰り返していることが、ロシアと経済的つながりが深い欧州経済にマイナスの影響を及ぼしています。特に、天然ガスの8割をロシアに依存し、ロシア向け工業製品の輸出も多いドイツ経済にダメージとなっています。
  • 少数民族の独立運動: スコットランドのイギリスからの独立を問う住民投票は、辛うじて否決されました。独立後の経済運営にスコットランド人が不安を感じたことが否決の原因です。
    スペインからカタルーニャ州が独立を目指している問題はより深刻です。カタルーニャ人はビジネスに熱心でスペインから独立できるだけの経済力を持っているからです。もしカタルーニャが独立すると、スペインの信用は低下し、スペインの対外債務問題が再び火を吹く可能性もあります。
  • EU(欧州共同体)の結束力低下: イギリス国内では常にEUからの離脱論がくすぶり続けます。EUのリーダー役ドイツは、弱体化する南欧諸国を支え続けることに対して国民の不満が高まっています。一方、南欧諸国では、構造改革を迫るドイツへの反感が高まっています。フランスやイタリアでも、EUの主導権をドイツに握られていることへの不満があります。

(2)日本経済は10月から回復に向かうと予想

7-9月の景気が期待はずれであった日本ですが、10月から回復に向かうと考えています。日本経済には、円安・米景気好調・原油価格下落の追い風が吹いています。4月の消費税引き上げに伴う駆け込み消費の反動減も、徐々に薄れていくと考えています。また、今後、追加の経済対策や追加金融緩和の検討も開始されると予想されます。

中間決算を見極めるまで、積極的な買い出動は行いにくいところです。買い始めるならば、大型の割安株からと考えています。