14日の日経平均は、世界的な株安を背景に364円安の14,936円と一気に15,000円割れまで下がりました。消費税引き上げ後の日本の景気が弱いことに加え、世界景気にも失速懸念が出ていることが嫌気されています。

私は、15,000円割れで日経平均の値幅調整はほぼ終わったと考えており、ここからは相場の落ち着きを待ちつつ、割安な好業績株の買い場を探していくべきと判断しています。

(1)リーマンショック再来はないと予想

世界景気に失速懸念が出ています。回復が続くと見られていたヨーロッパは景気後退の瀬戸際まで悪化しています。中国・ブラジル・ロシアなど新興国は不振が長期化しています。世界景気が視界不良となったことを受けて、世界で同時株安が起こりつつあります。原油など商品市況も、需要減少懸念から急落しています。2008年のリーマンショック再来を想起させるような事態です。

私は、リーマンショック時のような世界同時不況は起こらないと考えています。これには3つの理由があります。

  • ヨーロッパの景気が悪化しているが、米景気は堅調であること
  • ヨーロッパの金融機関が弱体化しているが、米国の金融機関は健全であること
  • 当時ほど新興国でインフレが高進しているわけではないこと

(2)アメリカの早期金融引き締めリスクはやや低下

米景気好調を受けて、来年半ばに米国で金融引き締めが始まることが、金融市場で懸念されていました。そのリスクはやや低下したと見ています。アメリカ以外の世界各国の景気が同時に軟化してきた影響を、アメリカも受けると考えられるからです。米長期金利が再び低下していますが、米景気がここから過熱するリスクより減速するリスクの方が高いことを反映した動きと見ています。

(3)日本の景気は10月以降、鈍いながらも回復に向かうと予想

4月から8月にかけて「ミニ景気後退」状態にある日本ですが、今後、一段と景気が悪化するとは考えていません。世界景気がまだら模様となる中で、日本は10月以降、アメリカとともに相対的に堅調な景気を維持すると予想しています。これには4つの理由があります。

  • 円安によって日本経済が競争力を取り戻した効果は残ること
  • 原油など天然資源価格が下がったメリットを受けること
  • 米景気が堅調を維持する恩恵を受けると予想していること
  • 日本で追加の景気対策や追加緩和が実施される可能性が高まったこと

(4)日本株が下げ止まるきっかけは?

消費増税後の国内景気が予想以上に弱いことを受けて、これから追加の経済対策の検討が始まると考えられます。追加対策の正式決定にはかなり時間がかかりますが、検討内容がいろいろな形で報道されるようになる過程で、日本株は下げ止まると予想しています。

また、これから始まる9月中間決算で、業績見通しを上方修正する企業が増えることも、日本株を下支えすると思います。業績予想の前提となる為替レートを、1ドル105円くらいに変更するだけでも、日本企業が海外で稼いでいる利益の円換算額はかなり増加します。

ただし、9月までの国内景気が想定外に弱かった影響で、中間決算ではネガティブ・サプライズとなる業績下方修正を発表する企業も出てくると考えられます。中間決算発表を見極めるまで、個別銘柄に大きな投資はしにくいところです。

また、急落直後の相場の常ですが、相場下落によってリスク許容度の低下した短期資金の売りがこれからも続く可能性があります。一方、ここからはバーゲン・ハンティングを狙う長期資金の買いが少しずつ増えてくると想定されます。したがって、目先、日経平均は15,000円前後で乱高下すると予想されます。