内閣府が7日14時に発表した8月の景気動向指数(速報値)は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント低下の108.5でした。内閣府は、景気の基調判断を「足踏みが続いている」から「下方への局面変化を示している」に引き下げました。数ヵ月後の先行きを示す景気先行指数は、前月比1.4ポイント低下の118.0でした。
(1)景気動向指数の動き(2013年1月~2014年8月)
景気一致指数
景気先行指数
景気の基調判断は、景気一致指数の動きから機械的に判断されるものです。7月に一時持ち直した景気一致指数が8月に再び落ち込んだため、低下トレンドに入っている可能性があると判断されました。なお、今回の基調判断の定義は、「事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数ヶ月にあった可能性が高いことを示す」となっています。「既に景気後退局面に入った可能性が高いことを暫定的に示している」とされています。
(2)事前予想通り、日銀の政策変更なし
7日午後に日銀の政策決定会合の結果が発表されました。事前予想通り、政策変更はありませんでした。注目されたのは、結果発表後の黒田総裁の会見での発言です。先行き追加金融緩和への含みを持たせた発言があるか注目されていました。
黒田総裁は、「景気回復に一服感があるが総じて良好な状態を維持」と景気認識について従来通りの発言を繰り返しました。ただし、足元、景気に弱い動きがあることを認める発言もあり、強気一辺倒であったこれまでとは微妙なトーンの違いがあります。言質を与えるような発言は一切ありませんでしたが、先行き追加緩和の可能性を意識していると解釈することもできます。
また、黒田総裁から「ファンダメンタルズに即した為替変動(円安)は経済にマイナスにならない」と円安容認発言があったことも特筆に値します。最近、「日銀の緩和が円安を招いている」→「円安は日本経済にプラスとばかりはいえない」という議論が出始めていることに対する反論と考えられるからです。これも、深読みすれば、追加緩和に含みを持たせた発言ととることもできます。
なお、最近、安倍首相が円安のマイナス効果に言及し始めていることは注目に値します。7日午後の参院予算委員会では、円安の影響についてプラスマイナス両方の影響があると発言しています。マイナス効果としては、「ガソリン価格の高騰、燃料費高騰などによって家計、中小・小規模事業者にはデメリットが出てきている」との認識を示しました。
(3)景気指標への注目が一段と高まる
日本経済が景気後退の瀬戸際にたったことを受け、今後発表になる景気指標への注目が一段と高くなりました。今日、内閣府が発表する予定の9月「景気ウオッチャー調査」の注目度は高いです。「街角景気指数」とも言われる景気ウオッチャー指数が、9月にどうなっていたか、明日、報告します。
また、9日(木)発表の8月の機械受注も注目されます。
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