為替がまた円高に動き、今日の日経平均は上値が重い可能性があります。今朝7時10分時点で、1ドル108.75円です。

6日の日経平均は、14時10分に前日比262円高の15,970円と16,000円の手前まで上昇しましたが、大引けには、上げ幅を縮小して前日比182円高の15,890円となりました。9月中間決算の内容を見極めるまで、16,000円を超えて上昇していくことは難しいと思います。

(1)日米景気指標に反応して乱高下する為替と株

為替も株も、日米の景気指標に反応して乱高下しています。最近の日米景気指標から、以下のことがわかりました。

  • アメリカの景気は好調
  • 日本の7-9月の景気は予想外に弱い

日米の景気モメンタムの差がはっきりしてきたことが、為替市場で、ドル高(円安)が進む要因となっています。ところが、足元、ドル高のピッチが速過ぎることに対する警戒感から、ドル安(円高)に戻る局面も出ています。

ところで、円高が日本経済にマイナスの影響を及ぼし、円安が日本経済にプラスの影響を及ぼすというマーケットの基本観は変わっていません。したがって、円高で株が売られ、円安で株が買われる連動性も基本的には変わっていません。

ただし、段々、円安になっても素直に株が上昇しなくなってきています。円安が日本経済にプラスの影響だけでなく、マイナスの影響もあることが意識され始めたからと考えられます。

  • 円安でも輸出数量が伸びていないこと
  • 円安が消費に悪影響を及ぼすガソリン高につながっていること

などが意識されています。また、足元の日本の景気が想定外に弱いことから、9月中間決算で企業業績が大幅に上方修正されるイメージを持てなくなってきています。それが株価の重石となっています。

(2)最近の為替と株の動きレビュー

以下に、9月30日から10月6日までの、ドル円為替レート(5分足)と日経平均の動き(5分足)を掲載しましたので、ご覧ください。

ドル円為替レート

日経平均

(注:為替は24時間の値動きを5分足で示したもの。経平均は場が開いている9時から15時までの値動きをつなげたもの。楽天証券経済研究所が作成)

  • 10月1日まで円安トレンドが継続

    日本の景気指標が弱いことを受けて、ドル高(円安)が進みました。10月1日の日本時間午前11時18分に1ドル110.08円まで円安が進みました。日経平均は、日本の景気指標が弱いことがネガティブ材料でしたが、円安が続いていたので、売られることなく値を保っていました。

  • 10月1日のニューヨ-ク市場でドル安(円高)に反転

    ドル高のピッチが速いことに警戒感が出てくる中で、アメリカの9月のISM製造業指数が低下したことをきっかけに、1ドル108円台の前半までドルが売られました。これを受けて、10月2日の東京市場で日経平均が急落しました。

  • 10月3日のニューヨーク市場でドル高(円安)に反転

    アメリカの9月雇用統計がポジティブ・サプライズだったために、再び1ドル109.75円までドル高(円安)が進みました。これを受けて、10月4日の日経平均は、14時10分に15,970円まで上昇しました。

  • 10月4日の東京市場では若干ドル安(円高)に戻る

    ドル高のピッチが速いことへの警戒感は残っているため、10月4日は109.35円までドル安(円高)に戻りました。10月4日の日経平均は、大引けにかけて伸び悩み、15,890円となりました。

(3)中間決算に注目

9月中間決算で、企業業績の上方修正が増えれば、日経平均は再度上値トライするでしょう。ただし、足元の日本の景気が思いのほか弱いので、期待ほど企業業績は上ぶれしないと、日経平均は上値が重いままとなります。決算発表が始まりましたら、本コラムで都度、途中経過をご報告します。