1日に9月の日銀短観が発表となりました。注目の大企業・製造業DI(景況指数)は、小幅に改善しました。しかし、大企業・非製造業DIが大きく悪化しました。中堅企業・中小企業のDIも軒並み悪化しました。円安が進んだにもかかわらず、7-9月に、景況はやや悪化したことがわかりました。
(1) 大企業・製造業DIは、小幅改善
大企業製造業DI
日本の景気動向をよく表す大企業・製造業DIは、+12→+13へ小幅改善しました。悪化を見込んでいた市場予想(+10)よりも良かったので、ほっと胸をなでおろしたいところですが、実態はよくありません。
6月時点での予想では+15へ改善すると見られていました。このころは、「消費増税の影響で4-6月は景気が落ち込むが、7-9月から回復が鮮明になる」が市場コンセンサスでした。ところが、現実には、7月以降も景気は停滞が続いています。円安という追い風を受けながら小幅改善にとどまったということは、景気実態はあまり良くないと言えます。
(2) 大企業・非製造業DIは大きく悪化
大企業非製造業DI
大企業・非製造業DIは、+19→+13へ大きく低下しました。4-6月から7-9月にかけて景況は改善せずに、悪化しました。円安が進んだことは、非製造業にはメリットにはなっていません。非製造業は主に内需産業だからです。輸入物価の上昇を通じて、マイナスの効果を受けます。また、人手不足が深刻化して、人件費が上昇したことも、非製造業の景況を悪化させました。
(3) 足元の生産が下ぶれ
9月30日に発表された8月の鉱工業生産は前月比▲1.5%のマイナスで、事前の市場予想(0.2%のプラス)を下回りました。意図せざる在庫が増加しており、企業は在庫調整のために生産を絞っています。「7月以降生産が回復に向かう」というストーリーに疑問符がつきました。
鉱工業生産指数(前月比)
(4) 「景気回復は10月から」に予想を変更
私は、当初7月から景気回復が顕著になると見ていましたが、7-9月の景気は停滞が続いていた模様です。「景気回復が明確になるのは10月から」と見通しを修正します。これから消費増税の影響が薄れてくる中で、円安が進んだ効果が景気回復に寄与すると見ています。
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