先週の日経平均は、1週間で91円下がって16,229円となりました。先週、日経平均に投資していた投資家は、9月中間配当金90円強を受け取る権利を確保したことになりますが、26日に90円強の配当落ちがあったため、実質的に資産価値は横ばいになりました。(ちなみに、配当金の受取りは11月ごろになります。)9月19日に昨年来高値を更新したので、達成感から一旦利益確定売りが出ましたが、出遅れた投資家の買いもありました。
(1)ようやくボックス圏から上放れしつつある日経平均
日経平均週足:2012年11月~2014年9月26日
日経平均は、12月末に17,000円、来年3月末に18,000円まで上昇すると予想しています。
(2)9月中間決算で、業績上方修正が増える見込み
10月中旬以降、3月期決算企業の9月中間決算発表が始まります。企業は、2015年3月期の業績予想を保守的(低め)に出してきましたが、上半期の業績が堅調であること、円安がさらに進んだことを受けて、業績予想の上方修正が増えると予想されます。
全産業(除く金融)経常利益の増益率
2014年3月期 | 実績 | 36% |
---|---|---|
2015年3月期 | 会社計画 | 2% |
楽天証券経済研究所予想 | 13% |
日本企業は、上方修正を小出しにする傾向があります。このため、仮に楽天証券経済研究所の予想が正しく、最終的に13%増益になった場合でも、中間決算時には+7%程度までしか、見通しを引き上げないと思います。
(3)日本株の買い手は、外国人と公的年金か
これから外国人投資家の買いが続くと予想しています。外国人投資家から見ると、日本株に出遅れ感があるからです。
外国人投資家は、保有するドルを円に転換してから日本株を買います。保有するドルの価値を増やすことが投資の目的です。したがって彼らにとって重要なのは、ドル建ての日本株リターンです。日本株が上昇すると価値が上がりますが、円安(ドル高)が進むと、価値が減少します。
日経平均とドル建て日経平均比較:2012年11月5日~2014年9月26日
ドル建て日経平均を見ると、外国人から見て、日本株がどう見えているかがよくわかります。外国人投資家は、アベノミクスへの期待から、2013年中に15兆円も日本株を買い越しました。その後、ドル建て日経平均はほとんど上がっていません。
9月以降、日経平均が久々によく上がって高値圏にあると思っている日本人は多いですが、外国人投資家はそう感じられません。円安によって価値が目減りしてした分を日経平均上昇でカバーできていないからです。ドル建て日経平均は相変わらず軟調です。
私は、アメリカ・中東・アジアで、日本株に投資している機関投資家と日本株の見通しについてディスカッションする機会が時々あります。彼らがいつも気にしていることは、「円安がどこまで進むか」です。投資した日本株が上がっても円安で目減りすると、利益が上がらないからです。彼らはいつも「円安にならないと日本株が上がらないならば、日本株はいらない」といいます。
ところが今、一部の外国人投資家は、ようやく「これ以上円安にならなくても、日本株が上昇する可能性が出てきた」と感じ始めています。「円安になればなるほど日本経済には良い」とは限らないところまで、円安が進んだとの感覚があるからです。今後、消費増税の影響が薄れて日本の景気が持ち直し、業績予想の上方修正が増えてくる中で、久々に「円安にならない中での日本株の上昇」が実現するのではないかと期待を持ち始めています。
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