先週の日経平均は、372円高の16,321円でした。昨年末の高値(16,291円)をようやく上回りました。19日に一時、1ドル109.87円まで円安が進んだことが好感され、輸出株を中心に上昇しました。

今週は、16,300円中心のもみ合いと予想します。

(1)ドル円為替レートと日経平均の動き(2013年5月~2014年9月19日)

ドル円為替レート

日経平均

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

上の図の赤で引いた線をご覧ください。為替市場では、昨年末の水準を大きく超えるドル高(円安)が進んでいますが、日経平均は、ようやく昨年末の水準に到達したところです。円安の進行に対し、日経平均はまだ出遅れています。

(2)決め手は、企業業績

日経平均が出遅れているのは、今期(2015年3月期)の企業業績計画が、低いからです。4月に消費増税があった影響が響いています。全産業ベース経常利益で見ると、今期は2%しか増益しない計画になっています。中間決算発表時に、利益計画の上方修正が増えると予想しています。

全産業(除く金融)経常利益の増益率

2014年3月期 実績 +36%
2015年3月期 会社計画 +2%
楽天証券経済研究所予想 +13%

(注)東証一部上場の3月期決算企業で、2015年3月期経常利益の予想を出している企業について、楽天証券経済研究所が集計

(3)円安効果で、輸出企業の業績が上ぶれる

海外現地生産が増えているので、円安でも輸出が伸びにくい構造になってきているといわれます。それでも、円安は輸出企業の業績拡大に寄与します。

仮に輸出数量がまったく増えなかったとしても、海外生産・海外販売であがった外貨建ての利益の円換算額は、円安で増加します(以下の説明図をご参照ください)。

海外で1億ドルの利益を上げている日本企業は、1ドル100円の時は円換算で100億円の利益を計上しますが、1ドル109円になると、円に換算した利益は109億円と、9%増加します。

(4)今週の日経平均は16,000円台の値固め

今週の日経平均は16,000円~16,500円の範囲でもみあいになると予想します。

日経平均・ドルは、それぞれ16,300円、109円台まで上昇し、達成感から目先は利益確定売りが出やすくなります。

一方、円安が進み、輸出株の下期の業績拡大期待が高まったことは株価上昇要因となります。

需給面では、個人投資家の利益確定売りが増えそうですが、外国人投資家の買いは継続すると予想されます。

円安が進んだ分、ドル建て日経平均の上昇率は低くなっているからです。外国人投資家から見ると、ドル建て日経平均はまだ上昇率が低く出遅れているので、積極的に買いやすくなっています。

<説明>日経平均が10%上昇しても、円がドルに対して10%安くなると、ドル建て日経平均は横ばいです。ドルを使って日本株に投資する外国人投資家から見ると、日経平均が上昇しても、ドル高(円安)が進んだ分、日本株を安く買えます。日本株を買い遅れた外国人投資家からの買いはまだ続くと考えます。