先週の日経平均は、1週間で280円上昇して15,948円となりました。アメリカの利上げ時期が早まるとの見方が増え、1ドル107円台へ円安が進んだことが好感されました。

(1)日経平均は、円安を好感して今週も上昇、年初来高値更新が視野に

日経平均は、1ドル107円台へ円安が進んだ割には上昇が鈍いままです。

日経平均週足:2012年10月~2014年9月

(注:楽天証券経済研究所が作成)

今後、日経平均は出遅れを取り戻す形で上昇が続くと予想しています。東証株価指数(TOPIX)は既に年初来高値を更新していますが、日経平均も年初来高値(16,121円)、昨年12月末の高値(16,291円)の更新が視野に入ってきたと考えています。

(2)日本経済が受ける円安メリットは大きい

今年度(2015年3月期)に入って企業業績の伸びが鈍化していることが、日本株の上値を抑えてきました。4月1日に消費税が引き上げられた影響で消費や設備投資のマイナスが予想以上に大きくなりました。

ただ、今後、消費増税の影響が薄れる中で、1ドル107円台の為替が続くならば、下期は企業業績の伸びが拡大すると考えられます。輸出産業の利益は、円安で拡大します。自動車産業は、1ドル107円で計算し直すと、今期の業績は大きく計画を上ぶれします。

円安メリットは、内需産業にも及んでいます。一番わかりやすいのは、観光産業です。円安効果で、訪日外国人観光客数が、過去最高を更新しています。

訪日外国人観光客数:2011年~2014年7月

(出所:日本政府観光局(JNTO))

製紙、鉄鋼などの素材産業も恩恵を受けています。これまで、アジアから安い洋紙や建設資材が流入するために、市況下落に苦しんできましたが、円安で安い輸入品は入りにくくなりました。

円安は、国内への設備投資回帰を引き起こします。古くなった社会インフラや生産設備の作り替えも、これから増えてくると考えられます。4-6月に一時的に落ち込んだ国内設備投資は、今後復活すると考えています。

(3)リスク要因は、米金利の上昇

これまで、アメリカの景気が強いことが、ドル高(円安)につながり、日本株上昇の要因となってきています。ただし、あまりにアメリカの景気が強すぎて、早期利上げ懸念が強まると、世界的に株が売られる可能性が高まります。その意味で、今週16~17日に開かれるFOMC(アメリカの金融政策決定会合)で、FRBのイエレン議長がアメリカの金融政策についてどのような発言をするかが注目されています。