2009年6月中間期は38%増益、受注の伸びやブランド力向上に評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02020 安踏体育用品有限公司(アンタ・スポーツ・プロダクツ) 11.50 HKD
(08/18現在)
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安踏体育用品の2009年6月中間決算は、純利益が前年同期比37.6%増の6億800万元に達した(継続事業部門が対象)。27.7%の増収効果や純利益率の1.6ポイントの改善などが同期の利益成長を支えた。靴および衣類の平均卸売価格がそれぞれ3.1%、5.7%上昇したことや製造コストの効果的な抑制で、粗利益率は前年同期の38.9%から41.5%に改善し、営業経費の対売上高比率は前年同期の20.6%に対して17.7%。一方、実効税率は一部子会社の課税優遇期間の満了などを受け、8.3%から14.3%に上昇した。中間配当は1株当たり0.12HKドルの予定で、配当性向は43.4%となる。

同社の店舗総数は6月末時点で6128店(昨年末は5667店)。第2四半期の既存店売り上げ伸び率は一ケタ台後半に達し、2-3月比で改善。小売部門の値引き率は例年を約2ポイント上回る20%だったが、販売代理店向けの在庫は通常レベルを維持した。BOCIはスポーツウエアの販売について、「ここ2-3カ月ほど上向いているが、回復ペースはやや勢いに欠ける」との見方だ。安踏体育用品によると、2010年第1四半期に向けた商談会での受注は前年同期比で約15%の伸び。BOCIは前年同期の30%を超える伸びに触れ、前年実績の高さや現在の景気を考慮し、15%の伸び率を前向きに評価している。

一方、同社は5月、中国オリンピック委員会(COC)と4年間のスポンサー契約を締結しており、この契約に絡むマーケティング費用を下期に計上する見通しとなった。同社は他のスポーツイベントの現行スポンサー契約もそのまま継続しており、BOCIはこの先の広告宣伝費の増大を予想。6月中間期には対売上高比率が11.2%にとどまったものの、向こう3年間にわたって14-15%に上向くとの見方を示している。

同社は百麗国際(01880)から、スポーツウエアブランド「FILA」の中国事業の権益85%を約3億3200万元で取得することに合意した。FILA中国事業は2008年に約3800万元の赤字を計上したが、安踏は将来的なハイエンド製品の需要拡大を見込み、今回の買収に踏み切った。ただ、BOCIはFILAの経営には困難が伴うと見ており、広告宣伝費の増大や代理店向けに補助金支給の必要性が生じる可能性などを指摘。現時点では情報が不足し、同社利益モデルにFILA買収を反映させていないが、仮に2008年の赤字が続くと仮定した場合、2010年の利益見通しを3%引き下げる必要があるとした。

BOCIは「差別化」が国内スポーツウエアブランドの長期成長性を決めるカギになるとの見方で、バスケットボール分野でリーディングポジションを固めた同社について、この点である程度成功したと評価している。また、COCとのスポンサー契約がこの先さらにブランド力を向上させると予想。国内最大手の李寧(02331)とのバリュエーション格差が縮小傾向にあるとした。なお、BOCIは、李寧を15%下回るPERを当てはめた上で安踏の新たな目標株価を設定し、同社株価の先行きに中立的な見方を継続した。