先週の日経平均は、1週間で244円上昇して15,668円となりました。米景気が強いとの見方が増えて、1ドル105円台へ円安が進んだことが好感されました。

(1)日経平均はまだボックスを抜け出したとは言えない

日経平均週足:2012年10月~2014年9月5日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

日本の景気停滞は続いています。消費税引き上げの影響が予想外に大きかったことに加え、円安にもかかわらずこれまで輸出が伸び悩んでいることが影響しています。日経平均は、先週は円安で上昇したものの、まだボックスを抜け出したとは言えません。

(2) 弱かった8月の米雇用統計の影響は限定的

8月の米雇用統計が発表されました。注目の非農業者部門雇用者増加数は、事前の市場予想(22.5万人増)を大きく下回る14.2万人増でした。景気が好調と判断される20万人増を下回る、今年最低の伸びとなりました。

アメリカ非農業部門雇用者増加数:2013年1月~2014年8月

(出所:米労働省)

ただし、同時に発表された失業率は、6.1%と事前予想通りでした。5.5%に向けて失業率の低下が続くとの見方を覆すものではありませんでした。

アメリカの完全失業率推移:2013年1月~2014年8月

(出所:米労働省)

9月第1週に発表されたアメリカの経済指標は、いずれもアメリカ景気の強さを示すものでした。

アメリカISM製造業指数の推移:2013年1月~2014年8月

アメリカISM非製造業指数

(出所:米供給管理協会(ISM))

8月の非農業部門雇用者増加数も、ADP雇用統計では20.4万人増と好調といえる内容でした(注:ADP用統計とは、民間の給与計算アウトソーシング会社のADPが米労働省と類似の雇用統計を独自のデータソースに基づいて計算して発表しているもの。米雇用統計の前日に発表されるので雇用統計の先行指標として注目されている)。

8月の非農業者部門雇用増加数が14.2万人増というのはあまりに低すぎるので、速報特有の誤りで、後に上方修正されるとの解釈もあります。ドル円為替レートも、雇用統計発表直後に、一瞬ドル安円高に進みましたが、その後、再び1ドル105円台の円安に戻しました。

(3)日経平均は、輸出株中心に堅調に推移へ

日経平均は、105円台の円安が進んだことを背景に、今週も輸出株を中心に堅調に推移すると予想します。大幅な上昇は見込めませんが、ジリジリと下値を切り上げる展開と思います。

世界的な金融緩和が、世界の金融市場を支えます。9月4日に欧州中央銀行が利下げしたこと、アメリカは利上げ方向ではあるが相当な期間にわたり緩和的状況が続きそうなことが追い風です。日本も、思ったほど景気が強くないので、黒田総裁はまだ追加緩和は必要ないとの発言を繰り返していますが、先行き追加緩和が実施される期待は残ります。