先週の日経平均は、1週間で115円下落して15,424円となりました。15,500円中心の膠着が続いています。一方、東証二部指数は、出来高も増えて、活況の中で上昇が続いています。

(1)今週も日経平均は膠着が続く見込み

日経平均の動き:2012年10月~2014年8月

(注:楽天証券経済研究所が作成)

(2)東証二部指数・日経ジャスダック平均の上昇続くと予想

東証二部指数・日経ジャスダック指数・日経平均の推移比較:2012年12月~2014年8月

(2012年12月3日を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

2013年中は日経平均(上の図の赤い線)が、東証二部・日経ジャスダックを上回る上昇率でした。ところが、2014年に入ってからは、二部・ジャスダックの方がパフォーマンスが良くなりました。

(3)急騰してきた東証マザーズは、目先調整か

東証マザーズ・東証二部・日経ジャスダック・日経平均の推移比較:2012年12月~2014年8月

東証マザーズは、東証二部・日経ジャスダック・日経平均をはるかに上回る上昇率となっています。しかも、上げる時も下げる時も他市場よりも変動が大きく、荒い値動きとなっています。やや過熱感があるので、目先は調整局面になる可能性があると考えています。

(4)東証マザーズ株と、東証二部株の比較

東証マザーズには、設立後の年数が短い、若い企業が多く上場しています。小型成長株が多いですが、若い企業ゆえに企業としての安定性が欠けるところもあります。

一方、東証二部には、業歴が古い小型株がたくさん上場しています。成長性の乏しい万年割安株が多い、ということです。成長性の高い二部株は、東証一部に指定替えになっています。いつまでも二部に留まっているのは、ほとんど成長性が乏しかった小型株です。ただし、業歴が長いだけに、東証二部には、堅実経営で安定感のある企業が多数あります。東証一部の小型株にも、東証二部と似た割安な小型株が多数上場しています。

ジャスダックはその中間です。成長性の高い小型成長株と、成長性が低い小型割安株が、混在しているイメージです。

(5)なぜ、東証二部株に注目するのか

2つの理由があります。

  • 東証二部株は割安

東証二部には、割安な小型株がたくさんあります。東証マザーズ・JASDAQと違って小型成長株が少ないので、東証二部株は割安です。

株価の割安度をはかるPBR(株価純資産倍率)で比較すると、現在、東証一部(平均)約1.3倍、ジャスダック(平均)約1.4倍に対して、東証二部(平均)は、0.9倍です。解散価値と言われるPBR1倍を割り込んでいる状態です。

  • 新たな利益拡大局面に入りつつある企業が増加

東証二部株には、内需株が多い。現在、内需中心の景気回復が続いており、その恩恵を受ける株がたくさんあります。例えば、建設・土木株。長年の不況を抜け出して、親たな利益拡大局面に入りつつあります。

建設・土木業は、昨年まで「利益なき繁忙」が続いていました。仕事はいくらでもあるのに、労務費や資材費が大きく上昇しているために、利益があげにくい状況が続いていました。今年から、建設・土木業は、「利益ある繁忙」に変わっています。建設単価の上昇によって利益が拡大する局面に入っています。その恩恵で、いままでPBR1倍を割れていた二部の建設株や建設資材株も、株価が大きく上昇しています。

今、まだ「利益なき繁忙」のままである内需産業はたくさんあります。陸運(トラック輸送)がそうです。無店舗販売の拡大によって、仕事はいくらでもありどんどん増えています。人件費や燃料費が上昇する中で、輸送単価が低いままなので、利益をあげにくくなっています。ただし、ヤマト運輸や日本通運などの大手でも値上げを検討するようになっています。業界全体で値上げが通るようになれば、陸運業も、「利益ある繁忙」に変わっていくことでしょう。

東証二部や東証一部の割安小型株に、このように内需復活の恩恵を受けて、株価が大きく上昇する銘柄がこれからも多数出てくると思います。