執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日経平均は、目先、大きく動かない可能性も。米金融政策の方向性が見えにくいことが影響。加計学園問題による安倍内閣の支持率低下が、外国人売買に影響した可能性も。
  • 日経平均の上値が重くなる中、中小型株が上昇トレンドに。小型株優位の相場がしばらく続く見込み。

(1)日経平均に、トレンドは出ず

先週の日経平均は1週間で189円上昇し、20,132円となりました。20日に20,230円と、年初来高値をつけましたが、上昇トレンドが続きませんでした。日本株を動かしている外国人投資家の買いが減少し、6月には小幅売り越しとなっていることが影響しています。

日経平均週足:2016年1月4日―2017年6月23日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

日経平均はしばらく、2万円を中心としたボックス圏で推移しそうです。米長期金利が2.2%前後で動かず、ドル円為替も、方向感が出にくくなっています。つれて、日経平均も、しばらく上下とも大きくは動きにくくなりそうです。

外国人投資家は、円安なら日本株を積極的に買い、円高なら日本株を売る傾向が鮮明です。目先、ドル円が大きく動かす、つれて、外国人の日本株売買も、方向性の定まらないままと、思います。

(2)安倍政権の支持率低下が外国人の日本株売買に影響

森友学園に続き、加計学園問題で、安倍首相が守勢に立たされていることが外国人の日本株売買に少し影響を与え始めています。安倍内閣の支持率が低下、不支持率が上昇していることにより、アベノミクスで掲げる経済政策が実行しにくくなる懸念が出ています。

外国人投資家は、政治のリーダーシップが弱まる国を売り、強まる国を買う傾向があります。安倍政権の政治リーダーシップが弱まる中、独仏中心にEU(欧州共同体)の結束を強める動きが見えつつあることから、一部外国人は、日本株の組み入れを下げ、欧州株の組み入れを増やした模様です。親EU派で国際協調路線のマクロン仏大統領の力が強まり、独仏中心にEUの結束を固める動きが見られることが、注目されています。

私は25年間の日本株ファンドマネージャーをやってきました。欧米年金や、中東・中国のソブリンウェルスファンド(国家資金を運用するファンド)のグローバル運用担当者と、よくミーティングをしましたが、日本人以上に、外国人投資家は、投資先の国の政治情勢をよく見ていると感じました。日本株について言えば、内閣支持率の低下は売り材料、支持率上昇は買い材料と判断する外国人投資家が多いと感じました。実際、内閣支持率が高い時に外国人買いが入りやすく、支持率が下がると、外国人売りが出やすくなっています。

次の注目が、7月2日の東京都議選となっています。小池百合子都知事の率いる都民ファーストの会と、自民党の戦いが注目されています。自民党が大きく負けるようだと、今後の国政運営でも自民党独断で進めることが難しくなる可能性が意識されます。

(3)中小型株の上昇が続く

日経平均の上値が重くなる中、政治情勢や為替、外国人売買の影響を受けにくい中小型株が、上昇トレンドに入りつつあります。国内景気の回復を受け、内需小型株の業績が好調であることも注目されています。

二部・JASDAQ・東証マザーズ株が、日経平均を上回るパフォーマンスをあげつつあります。しばらく、中小型株優位の相場が継続する見込みです。