28日の日経平均は71円高の15,529円。始まったばかりの4-6月決算発表がおおむね好調であることが好感されています。日経平均の値幅は小さくなっていますが、決算を発表した銘柄は、決算内容に応じて株価が大きく動いています。

(1) 28日の株価変動が大きかった銘柄(東証一部)

  株価騰落率 経常利益(億円) 4-6月進捗率
4-6月 今期予想
8036 日立ハイテクノロジーズ +11% 134 350 38%高い
5659 日本精線 +19% 8 26 31%高い
6755 富士通ゼネラル +11% 61 210 29%高い
4217 日立化成 +9% 82 360 23%やや低い
5471 大同特殊鋼 ▲7% 46 250 18%低い
4929 アジュバンコスメジャパン ▲7% 2 11.29 18%低い

(注)日本精線の4-6月決算発表は24日、その他は25日。株価騰落率の▲はマイナスを示す。各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成

決算発表期特有の動きとして、サプライズ(市場予想と大きく異なる)決算を発表した銘柄の発表直後の値動きは大きくなります。第1四半期決算では、通期予想に対する進捗度が注目されます。1年間のうちの4分の1が経過したわけですから、年間予想利益の25%くらい達成されていれば順当ということになります(季節要因の大きい銘柄はその限りではありません)。

上の表では、進捗率が25%を超えているものを「進捗率高い」としてピンク色で表示しました。進捗率が25%未満のものを「進捗率がやや低い/低い」として水色で表示しました。一般的に、進捗率の高い銘柄は、今期業績予想が先行き上方修正される期待が高まります。進捗率の低い銘柄は、下方修正のリスクが意識されます。

日立化成を除けば、進捗率の高い銘柄の株価が大きく上昇し、進捗率の低い銘柄の株価が大きく下がっています。

(2)決算概要と、株価が大きく動いた理由

  • 日立ハイテクノロジーズ(8036)
    医療用分析機器、半導体製造装置の業績が堅調で、第1四半期の業績進捗率が高くなりました。バイオ研究に使われる分析機器を手がけることから、「バイオ関連株」として注目されることがあります。28日の株価2,794円でもPER(株価収益率)は15倍で、なお割安と判断されます。
  • 日本精線(5659)
    24日に四半期決算を発表しました。発表直後の25日に株価は1%しか上昇しませんでした。ただし、日経産業新聞が28日に「日本精線は石油由来の溶媒から高効率に水素を取り出せる特殊ワイヤ材料を開発した」と報じたことをきっかけに、好業績の「水素関連(燃料電池関連)株」として注目が高まりました。28日は629円でストップ高買い気配となりました。629円でもなお、PER12倍、PBR0.87倍と株価は割安なので、ここからさらに上値余地が大きいと判断されます。
  • 富士通ゼネラル(6755)
    富士通ブランドのエアコンは海外で高いブランド力を持ちます。生産は中国で行っており、コスト競争力もあります。安定成長企業で、今期も最高益更新が予想されています。28日の株価1,372円でもPERは11倍で、なお割安と判断されます。
  • 日立化成(4217)
    半導体・液晶材料や自動車部品が主力。第1四半期は、タイでの自動車部品が不振で業績進捗率がやや低くなりました。ただし、決算発表と同時に、約1千人の希望退職を募集を発表したことから、構造改革による体質強化への期待から株価は上昇しました。
  • 大同特殊鋼(5471)
    自動車や航空機、造船向けに特殊鋼の生産を手がけます。生産プロセスで電気をたくさん使います。中部電力の電力料金の値上げなどが響き、第1四半期の業績の進捗が低くなりました。
  • アジュバンコスメジャパン(4929)
    美容室向けのヘアケア商品、スキンケア商品が好調で前期(2013年3月期)まで最高益の更新が続いてきました。今期も最高益更新を見込んでいましたが、第1四半期が前年比で32%の経常減益となったことで、最高益を続けることがやや難しくなりました。