2009-10年利益予想を下方修正、輸送量と運賃の下落が収益を圧迫

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02866 中海集運(チャイナ・シッピング・コンテナ・ライン) 2.17 HKD
(06/17現在)
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BOCIは現在のコンテナ輸送市場の厳しい状況を踏まえ、中海集運の業績に対する悲観的な見方を継続。2009年の赤字見通しを当初予想の19億元から27億元に、2010年を5億2700万元から8億2760万元にそれぞれ下方修正した。株価の先行きは慎重な見方に据え置いている。

同社は荷主との太平洋航路運賃の交渉を9割方終えたもよう。契約運賃を明らかにしていないが、BOCIは昨年を20-30%下回り、1TEU(20フィート標準コンテナ換算)当たり200-300米ドル下がったと予想している。契約運賃とスポット運賃が近づいており、米西海岸向けで1TEU 当たり1100米ドル、米東海岸向けで同1700米ドルになるとの見方だ。

現在のスポット運賃の同700-800米ドルは利幅が薄く、アジア欧州市場に多大な赤字を抱える同社にとって厳しい状況。さらに、燃料価格が上昇傾向にあるものの、競争激化から通常は顧客に上乗せするBAF(燃料調整費)の請求が困難となっている。また、ピークシーズンのサーチャージについても、たとえ請求できても別の部分でディスカウントを迫られる可能性が高く、効果は薄い見通し。

中海集運は年初来の輸送量を明らかにしていないが、前年同期比20-30%減とBOCIは推測している。中国政府の対策により、国内市場の減少率は低いとみられるが、海外市場の大幅な落ち込みにより、国内市場での競争が激化。中海集運と中遠集装箱運輸(COSCON)が2009年第2四半期以降、シェア獲得のための価格競争を繰り広げたため、国内市場でも利益率が悪化している。現在の運賃は前年同期比20%減。昨年の粗利率は20%だったが、今年は損益均衡程度になる見通し。

ピークとなる第3四半期の業績が2009年の業績の鍵となるが、欧米の需要が不安定のため、目標達成は困難とみられる。両市場の景気は底を打ったとされるが、失業率の回復には至っていない。海運各社は4月に運賃を1TEU 当たり200-300米ドル引き上げたものの、輸送量の伸び悩みと競争激化により価格は半月で元に戻った。このため7月以降、ピーク時の価格引き上げの持続性にも疑問が残る。また、2010年の景況も引き続き不透明であり、運賃引き上げが困難とみられることから、赤字継続の可能性もありそうだ。

厳しい事業環境を踏まえ、BOCIは中海集運の2009-10年の予想値を見直した。2009年の輸送量は前年比10.9%減の620万TEU、2010年は同5.5%増の650万TEU。TEU当たりの売上高は、同26.8%減の3634元、同5.1%増の3818元にそれぞれ引き下げた。TEU当たりの平均コストは15.7%減の4160元、および5.2%増の3943元。これらは2010年の市場回復を踏まえた数字という。