15日、前澤工業(6489)の株価が60円(26.6%)高の381円まで買われ、ストップ高買い気配で引けました。14日に発表した決算が好感されました。
(1) 大幅減益後に大幅増益となる前澤工業(6489)
前澤工業は、5月決算銘柄です。15日に、前期(2014年5月期)実績と、今期(2015年3月期)業績見通しを発表しました。同社資料によると、前期は、38%の営業減益でしたが、今期は35%の営業増益となる見通しです。株価はストップ高後の381円でも、PER(株価収益率)11倍、PBR(株価純資産倍率)0.5倍の割安圏にあるので、16日以降も上昇が続くと予想されます。
(2)これから始まる第1四半期決算の注目点
これから3月期決算企業の、第1四半期(4-6月期)決算の発表が始まります。注目点は、以下の通りです。
- 消費税引き上げが、4-6月の業績にどう影響したか
4月1日からの消費増税で4-6月のGDPはマイナス成長となった見込みです。ただし、当初懸念されたほど、落ち込んでいないことがわかっています。4-6月の決算は前年比で減益になる企業が多いでしょうが、それでも会社が事前に想定した内容よりは良いと予想されます。 - 通期(2015年3月期)業績予想に修正があるか無いか
第1四半期を終えた時点で、いきなり通期業績予想を修正する企業はほとんど無いと考えられます。もしあれば、サプライズ(驚き)となり、株価が大きく動くことになります。
一部の企業は、2014年9月中間決算の予想を出しています。中間決算の予想のみ修正し、通期の予想は据え置き(通期は見直しせず)というパターンはありえます。このパターンでは、必ずしも株価は大きくは動きません。 - 今期業績の会社予想と市場予想の乖離が大きい企業に注目
会社予想は全般的に保守的(低め)で、10月頃に上方修正が増えると予想しています。3月決算の東証大型株(TOPIX100、除く金融)のうち、市場予想(IFISコンセンサス予想)が出ている57社について、現時点での会社予想と市場予想を集計すると、以下の結果が得られました。
主要大型株57社の2015年3月期経常増益率
市場予想:+6.1%増益 会社予想:▲0.1%減益
上記57社のうち、経常増益率の市場予想が会社予想を7%超、上回る企業
コード | 銘柄名 | 市場予想 | 会社予想 | (市場予想) -(会社予想) |
|
---|---|---|---|---|---|
1 | 7974 | 任天堂 | 542.5% | 475.1% | 67.4% |
2 | 6758 | ソニー | 457.6% | 405.0% | 52.5% |
3 | 6502 | 東芝 | 58.3% | 38.2% | 20.2% |
4 | 5020 | JX HLDG | -10.5% | -30.5% | 20.0% |
5 | 5713 | 住友金属鉱山 | 17.9% | -2.1% | 20.0% |
6 | 6594 | 日本電産 | 33.4% | 15.8% | 17.6% |
7 | 7270 | 富士重工業 | 17.5% | 4.9% | 12.6% |
8 | 6752 | パナソニック | -30.0% | -41.8% | 11.8% |
9 | 4661 | オリエンタルランド | -13.8% | -25.3% | 11.5% |
10 | 9202 | ANA HLDG | 39.5% | 28.1% | 11.4% |
11 | 7203 | トヨタ自動車 | 9.1% | -2.1% | 11.2% |
12 | 6501 | 日立製作所 | 0.6% | -10.2% | 10.8% |
13 | 7269 | スズキ | 10.6% | 0.1% | 10.5% |
14 | 5802 | 住友電気工業 | 9.6% | -0.2% | 9.8% |
15 | 6503 | 三菱電機 | 13.9% | 4.4% | 9.4% |
16 | 8053 | 住友商事 | 17.9% | 9.1% | 8.8% |
17 | 6273 | SMC | 3.8% | -5.0% | 8.8% |
18 | 6902 | デンソー | -1.7% | -9.9% | 8.2% |
19 | 7267 | 本田技研工業 | 10.2% | 2.2% | 8.0% |
20 | 6954 | ファナック | 31.2% | 24.0% | 7.2% |
(出所)市場予想は7月15日時点のIFISコンセンサス予想、SEC基準・IFRS採用企業については税引前利益を経常利益として集計、楽天証券経済研所が作成
市場予想と会社予想の乖離が大きい企業は、決算発表でサプライズ(驚き)が出やすいので注目です。サプライズは、ポジティブ(買い材料)、ネガティブ(売り材料)両方がありえます。
第1四半期の業績がアナリスト想定に近ければ、10月ころには会社予想が上方修正される期待が高まります(買い材料)。
ただし、第1四半期の業績が予想外に不振ならば、アナリスト予想は引き下げが相次ぎます(売り材料)。第1四半期の決算実績で、今年度の業績イメージが徐々に固まってきます。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。