先週の日経平均は、1週間で467円上昇して16,880円となりました。10月31日の日銀のサプライズ追加緩和を受けて円安が進んだ流れを受けて、4日に一時17,000円を超えましたが、その後は利益確定に押されて伸び悩みました。

(1)今週は、16,500円辺りへ調整を見込む

日経平均日足:9月1日~11月7日

10月の日本株主体別売買動向(売買代金差額)二市場1・2部/総合証券60社経由

(金額単位:億円)

売買主体 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週
外国人 ▲ 1,947 ▲ 3,370 ▲ 4,076 257 5,364
個人 3,542 2,931 3,875 ▲ 692 ▲ 8,276
信託銀行 714 1,265 1,894 1,580 2,143

(出所:東京証券取引所)

日経平均は、10月以降、外国人投資家の強引な売買に振り回されて乱高下しています。上の図をご覧ください。

  • 外国人投資家の1兆円を超える投げ売りで急落、個人投資家は1兆円以上買い越し、信託銀行(公的年金)も買い越し
  • 外国人投資家の売りが収まる中で、自律反発
  • 日銀の追加緩和発表を受けた外国人のパニック買いで急騰、個人投資家は8,276億円を売り越し。信託銀行(公的年金)の買いは継続。
  • 外国人のパニック買いが収まってくる中で個人投資家の利益確定で上値が重くなる。

7日のニューヨーク市場で、為替が一時1ドル115円台の後半まで円安が進んだ後、10月の米雇用統計発表後に、1ドル114円台まで円高に反転しました。これを受けて、今週の日経平均は、下げて始まりそうです。10月31日と11月4日のローソク足の間にあいている窓を埋めにいく(16,500円辺りへ下げる)可能性があると考えます。

(2)10月の米雇用統計は強かったが、雇用統計発表をきっかけにドルが売られた

10月の米雇用統計は、文句なしに強い内容だったと言えます。ただし、ドル高の進行が速すぎたことに警戒感があったので、雇用統計発表直後に、ドルは売られました。

非農業者部門の雇用者増加数

(出所:米労働省)

一番注目が高い10月の「非農業者部門の雇用者増」は前月比21万4千人の増加でした。景気好調とみなされる20万人以上の増加を9カ月連続しており、強い内容と言えます。事前予想(23万5千人増)を下回っていますが、20万人を上回っているので気にする必要はないと思います。また、10月は速報値であり、今後上方修正される可能性もあります。

8月の雇用者増加数は、今回、20万3千人増に修正されました。8月は速報値(9月発表)が14万2千人増と低く、当初ネガティブ・サプライズと言われました。しかし、10月発表の修正値で18万人増となり、そして今回発表された確定値で20万3千人増に修正されました。結局、8月も強かったわけです。9月の雇用者増も、今回、上方修正されました。

完全失業率

(出所:米労働省)

アメリカの完全失業率は、10月は0.1%低下して5.8%でした。長期的な低下トレンドが続いています。

(3)米10月のISM製造業指数も強かった

先週、発表になったアメリカの景気指標は強いものが多く、アメリカの景気の現状が強いことは、ほぼ間違いありません。

ISM製造業景況指数・非製造業景況指数

(出所:米ISM供給管理公社)

非製造業の景況指数は、低下していますが、景況の分かれ目50をかなり上回っており、問題ありません。

(4)アメリカの景気指標が強いにもかかわらずドルは反落、スピード調整と考えられる

ドル高(円安)のピッチが速すぎることに警戒感がありましたので、先週末は1ドル114円台にドルは反落しました。ドル高(円安)につれて上昇してきた日経平均も、目先は反落が見込まれます。

ただし、来年3月に日経平均が18,000円に上昇するとの見通しは変えていません。16,500円まで下がれば、そこからは再び買い場になると思います。