日経平均の乱高下が続いています。短期的な下値不安は簡単には払拭されませんが、私は、中長期投資を考えるならば、日本株が割安な今、積極的に買い増しすべきと考えています。

今日は、円安で海外からの観光客が増加していることに注目し、好調な観光産業から、参考銘柄をピックアップします。

(1)円安で、訪日外国人が急増

円安で、海外から見た日本への旅行価格が大きく下がりました。その効果で、日本を訪れる外国人観光客が増えています。2014年1-3月期は、訪日外国人観光客が前年比27.5%増の2,874,500人と、過去最高を更新しました(日本政府観光局の推計)。

円が安くなったということは、日本人にとっての海外旅行のコストは高くなったわけです。その効果で、1-3月は、日本から海外への渡航者数が前年比▲4.3%減の4,253,400人と減少しました。海外旅行をやめた日本人は、国内旅行に回帰しています。

日本の観光産業は円安によって、①外国人観光客増加と、②日本人の国内旅行回帰の2つの恩恵を受けています。

(2011年1月~2014年3月)

(出所)日本政府観光局(JNTO)データから楽天証券経済研究所が作成

上のグラフを見るとわかる通り、訪日外国人の数は年々増加しています。2011年3月は、東日本大震災が起こったために、大きく減少しました。地震への恐怖もありますが、それ以上に大きかったのは福島原子力発電所が放射能漏れ事故を起こした影響です。風評被害もあって2011年の訪日外国人数はなかなか回復しませんでした。当時、円高が進んでいたことも、外国人観光客が減少する一因となりました。

2012年は、原発事故の影響が徐々に薄れて外国人観光客の数が回復しつつありましたが、8月に尖閣諸島国有化をめぐって日中対立が深まり、中国からの観光客が落ち込みました。

2013年・2014年は、急激な円安が進んだ効果で、海外からの観光客数の伸びが再び加速した。

(2)中国からの観光客急増

国別内訳に、驚くべき傾向が出ています。2014年1-3月の中国からの訪日観光客が、前年比87%増の47.8万人と四半期で過去最高を更新していることです。日中関係が改善したわけではないのに、なぜ今、中国からの観光客が急増しているのでしょうか。答えは、「円安効果は、反日感情より強し」としか言いようがありません。円安・人民元高で、日本への旅行コストが大きく下がった結果、中国では今、一番行きたい国のトップに日本が踊り出ています。

(2011年1月~2014年3月)

(出所)日本政府観光局(JNTO)データから楽天証券経済研究所が作成

旅行後の日本の評判は上々です。「日本人が親切で驚いた」「日本に来る前は日本が嫌いだったが、日本に来て考えが変わった」といった声があります。

(3)観光ブームでメリットを受ける参考銘柄

コード 銘柄名 備考
3099 三越伊勢丹HD 外国人に人気の高級ブランド品が充実。東京の百貨店各社は軒並み外国人観光客への販売が拡大中。
4661 オリエンタルランド 「東京ディスニー・リゾート」を運営。アジアからの観光客に人気で、年々入場者が増加。前期に30周年キャンペーン効果で37%最終増益した反動で今期は21%減益を見込む。会社計画は保守的で、上ぶれ余地。
8136 サンリオ 日本発ブランド「ハローキティ」がアジアにも浸透。日本の土産としてサンリオのキャラクター商品を買い求める外国人は多い。テーマパーク「ピューロランド」を訪れる外国人は2013年に前年比50%増の3万人。キティブランドのライセンス契約が好調の台湾からの観光客が特に多い。
8985 ジャパン・ホテル・
リート投資法人
ホテルへの投資に特化するREIT(上場不動産投資信託)。東京ディズニー・リゾートのオフィシャルホテルである「ヒルトン東京ベイ」などに投資。分配金利回りは、5月8日時点で4.27%
9022 東海旅客鉄道 新幹線は、海外観光客に人気高い。世界遺産に登録された富士山への観光を兼ねて東海道新幹線を使う観光客が増えている。前期の鉄道輸送量の伸びは+4%と高く、純利益は28%増の2,556億円と最高益を更新。