先週の日経平均は、1週間で28.25円上昇し、14,457.51円となりました。膠着感が強まり、上へも下へも大きくは動きにくい展開となりました。

3月決算の発表が佳境を迎えています。前期(2014年3月期)実績は良好ですが、相変わらず、市場予想を下回る今期(2015年3月期)見通しを発表する企業が多いことが日本株の上値をおさえています。ただし、低い予想を出す企業が大きく売られることが少なくなってきました。日本企業が、消費税引き上げ後の業績予想を、例年以上に保守的に(低く)出していることが、投資家に理解されてきたためと考えられます。

既に、増税後の4月の消費落ち込みが思ったほど大きくないことがわかっており、日本株を急いで売る外国人は少なくなってきました。

(1)今週も上値の重い展開が予想される

連休中のNYダウは3営業日で▲1.2%下がりました。為替は、やや円高に進みました。日経平均は、今週も上値の重い展開が続きそうです。引き続き、決算発表が最大の注目点となります。今週もっとも注目されるのは、8日(木)発表予定のトヨタ自動車(7203)の決算です。

(2)日本の連休中の北米市場の動き

連休中にNYダウは▲1.2%下がりました。為替は、やや円高に推移しました。

特筆すべきことは、5月2日にアメリカの4月の雇用統計が出たことです。強い数字が出たにもかかわらず、アメリカの景気実態が強いとの見方は広がりませんでした。2日は、雇用統計を好感してNYダウは上昇して始まりましたが、大引けは▲45.98ドル安でした。為替も、一時103円台へドル高(円安)が進みましたが、その後、ドルは売られました。

アメリカの非農業部門の雇用者数増減

(出所:米労働省)

米雇用統計では、アメリカの景気動向を敏感に反映する、非農業部門雇用者増減が注目されます。4月は、28万8000人の増加で、「景気が強い」と判断される20万人増を上回っていました。

ところが、4月の伸びには、大雪の影響で伸びが低かった12月・1月の分が遅れて入ってきているので、これだけでアメリカの景気が強いとは判断できないとの見方が広がりました。

アメリカの完全失業率

(出所:米労働省)

4月の失業率は6.3%と、3月の6.7%から0.4%の大幅低下となりました。ポジティブ・サプライズといえます。ただし、労働参加率が低下しており、職を求めることをあきらめる人が増えたことが失業率を低下させた面があります。

(3)先週の決算サプライズ

先週発表になった主要企業の決算内容は、以下の通りでした。決算発表で一番注目されるのは、新年度(2015年3月期)の業績予想です。

今期連結経常利益の 会社予想と市場予想比較

4月28日発表分

(出所)会社予想は各社決算短信、市場予想はIFISコンセンサス予想

4月30日発表分

(出所)会社予想は各社決算短信、市場予想はIFISコンセンサス予想

5月1日発表分

(注)伊藤忠・住友商事の会社予想・市場予想は、連結純利益。ロームの会社予想・市場予想は経常利益。
(出所)経常利益・純利益の会社予想は各社決算短信、市場予想はIFISコンセンサス予想

5月2日発表分

(出所)会社予想は各社決算短信、市場予想はIFISコンセンサス予想

目を引いたのは、5月1日に決算を発表したローム(6963)の動きです。今年度の業績予想が市場予想を大きく下回るネガティブ・サプライズだったにもかかわらず、5月2日に株価は10.3%上昇しました。今回の決算発表では低め低めに予想を出す会社が多いので、ロームの予想も保守的(低め)と解釈されました。それに加え、ロームの事業構造が改善しつつあることが好感されました。ロームは、元々テレビなど民生電機向けの電子部品が多く、民生電機メーカー不振の影響で、業績低迷が続いていました。近年は、自動車向けの半導体売上が増加し、新たな成長ビジネスとして期待されています。