先週の日経平均は、1週間で87.01円(0.6%)安い、14,429.26円となりました。弱材料と強材料が拮抗し上へも下へも動きにくいム-ドが広がりました。先週の主な強弱材料は、以下の通り。

弱材料① 決算失望:
先週から3月決算の発表が始まりました。前期実績は良好ながら、会社が発表する今期予想がアナリスト予想を大幅に下回る会社が多いことが警戒されました。
弱材料② 中国景気への不安蒸し返し:
23日発表の4月のHSBC製造業PMI速報値は48.3で、4カ月連続で好不況の分かれ目50を下回りました。
強材料①
消費増税後の売上は、想定ほど大きく落ちていない
強材料②
消費税増税分の価格転嫁は順調に進んでいる

(1)国内景気は想定より良いが、決算発表は期待外れ

先週の日本株市場は、「消費税引き上げ後の景気低下が思ったほど大きくない」ことには安心しつつも、決算を発表する企業の「今期業績見通しが低い」ことに警戒感が強まる展開でした。

<先週発表の決算サプライズ>3月期決算企業の、今年度(2015年3月期)経常利益(会社予想)を、発表日直前の市場予想(IFISコンセンサス予想)と比較

(注)サプライズの見方
×ネガティブ・サプライズ(青色): 会社予想が市場予想を大きく下回る
ややネガティブ(緑色): 会社予想が、市場予想を少し下回る
予想範囲内: 会社予想が市場予想と大きくは離れていない
〇ポジティブ(朱色): 会社予想が市場予想を上回る

(金額単位:億円)

 

(注)市場予想は、IFISコンセンサス予想

(2)今週の日経平均は軟調

今週、想定される弱材料は、以下の通り。

  • アナリスト予想を下回る業績見通しを発表する企業が多いこと
    (参考)28日(月)に決算発表予定の主な企業
    オリエンタルランド(4661)三菱電機(6503)NEC(6701)パナソニック(6752)TDK(6762)京セラ(6971)東京エレクトロン(8035)中部電力(9502)東京ガス(9531)
  • オバマ米大統領の訪日中に、TPP大筋合意に至らなかったこと
    TPPを大筋合意に持っていけなかったことは、外国人投資家から見た日本株の投資魅力を低下させる要因となります。年明けから外国人投資家が日本株を大幅に売り越している背景には、アベノミクスへの期待低下があります。外国人投資家は、安倍首相の経済改革にかける熱意が低下したとの印象を受けています。オバマ大統領の訪日中に、TPPを大筋合意まで持っていければ、日米の結束の固さと、安倍首相の経済改革にかける熱意をアピールすることができたのですが、結果は期待外れでした。
  • 日銀の追加金融緩和は4月も見送られる公算が高いこと
    4月30日(水)に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。消費税引き上げ後の4月の景気が想定ほど落ち込んでいないこと、消費税の価格転嫁が順調に進んでいることから、追加緩和は実施されないと予想します。

(注)消費税引き上げ後に、物がまったく売れなくなるという懸念は、杞憂でした。消費増税後、「景気が大きく落ち込み、小売業者の値引き合戦が熾烈になり消費税の転嫁が進まなくなる。そして、日銀が追加緩和を実施せざると得なくなる」というシナリオが、一部で根強く語られていました。

(参考)4月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮除く)上昇率(前年比)