安川電機(6506)の株価は22日、前日比68円(5.1%)安の1,260円と急落しました。21日に発表した今期(2015年3月期)の予想が、アナリストのコンセンサス予想を大幅に下回ったことが嫌気されました。

(1) 前年度の実績は良かったが、今年度の予想がネガティブ

安川電機の業績:過去2年の実績と今来期予想

(金額単位:億円)

(出所:安川電機資料・IFISコンセンサス予想から楽天証券経済研究所が作成)

安川電機は3月20日決算なので、3月決算発表がいつも第一号となり注目を浴びます。4月21日に発表された決算内容は、予想通り、前期実績は好調でしたが、今年度の予想が市場予想を大きく下回り、ネガティブ視されました。

22日の夕方に開催された決算説明会では「今期予想は保守的(低め)か」という質問が相次ぎました。会社側から、今期の増益率が低いことについて「モーションコントロール部門で値下げがやや大きくなる」「将来の成長のための先行投資負担が生じる」などの理由が説明されました。今期予想は保守的という明確な回答はありませんでした。

「中期経営計画で来年度(2016年3月期)に、過去最高益を超える営業利益400億円を目標としているが、達成は困難か」の質問に対しては、「現時点で目標を下げることはない。コストカットなどあらゆる努力をして達成を目指す。ロボットとモーションコントロールは順調な成長が期待できる。システムエンジニアリング部門が下ぶれそう」との回答でした。

(2) 短期的には上値重いが、中期的にはロボットの成長性に期待

決算結果を受けて、当面、安川電機の上値は重いと考えられます。ただし、中長期的にロボット関連の成長株としての期待は続きます。①自動車製造用ロボットの中国向け拡大、②人間の労働をアシストするサービスロボットの実用化が期待できます。

(参考)ロボット関連銘柄

コード 銘柄名 備考
6134 富士機械製造 高速チップマウンターに強み
6268 ナブテスコ ロボット用関節材で世界シェア6割
6474 不二越 産業ロボット・ベアリング大手
6506 安川電機 産業用ロボット大手。サービスロボットに期待
6594 日本電産 精密モーター最大手。子会社で産業ロボット製造
6954 ファナック 産業用ロボットで世界最大手

(3)保守的予想が続きそうで、目先、日経平均の上値抑える

安川電機のように、今期予想を低く出す企業が多いと予想されていることが、日本株市場全体を抑える要因となります。したがって、これから続く決算発表時の今期見通し発表には注意が必要です。