昨日の日本株は反落しましたが、引き続き「買い場」の判断を継続します。

一方で、世界経済は中国の低迷が続きそうなことが懸念材料ですが、インド・インドネシアなど新興国の一部に、成長力を回復する期待が出ていることは明るい兆しです。
過去10年、新興国の成長や信用不安をめぐって、いろいろなキーワードが作られました。成長する新興国の頭文字をとって作られたのがBRICSとVISTAで、リーマン・ショック後に信用状態の悪化した欧州諸国や新興国を現す言葉として注目されたのがPIIGSとフラジャイル5です。さて、次に話題になるキーワードは何でしょうか?

ところで皆様は、BRICS・VISTA・PIIGS・フラジャイル5があらわす国名をすべて言えますか。

(1) 高すぎる成長が続くと、構造問題が発生する

2008年にリーマン・ショックが起こる直前まで、世界中の新興国は同時に高成長を謳歌していました。

  • BRICs(ブリックス): 高成長するブラジル(BRAZIL)・ロシア(Russia)・インド(INDIA)・中国(CHINA)の頭文字をとって作った言葉です。
  • VISTA(ビスタ): 次に高成長が期待できる国として、ベトナム・インドネシア・南アフリカ共和国・トルコ・アルゼンチンの頭文字をとって作られた言葉です。

これらの言葉が作られた2001年から2006年当時は、通貨統合を果たしたEU諸国の成長率も高まっており、もちろん日本もアメリカも好調でした。

ところが、後から振り返ると、この時の成長率が高過ぎて、世界中に構造問題(バブル)が発生しました。

2008年に、アメリカでは住宅ローンバブルが崩壊し、リーマン・ショックが起こりました。バブル崩壊は瞬く間にヨーロッパに伝播し、欧州の不動産も下落、欧州バブルも崩壊しました。

  • PIIGS(ピーグス):過重債務をかかえて信用状態の悪化した欧州の5カ国、ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシア・スペインの頭文字をとって作られた言葉です。

昨年は、対外負債が大きいことから不安視された5つの新興国、フラジャイル・ファイブ(ひ弱な5カ国)の問題も注目されました。

  • フラジャイル5:ブラジル・インド・インドネシア・南アフリカ・トルコの5カ国

おもしろいことに、フラジャイル5は、かつてBRICS、VISTAなどと呼ばれて高成長をはやされた国々です。高すぎる成長が続き、経済体質が劣化したことが、近年の危機を招いたといえます。

今年に入ってから、フラジャイル5よりもさらに財政状態のよくない国として、アルゼンチン・ウクライナ・ベネズエラの問題もクローズアップされました。

(2) 欧州債務危機は緩和、新興国の信用不安も徐々に緩和へ

成長が続くと、構造問題がおこりますが、危機がおこると構造改革が進んで経済体質が強化されます。欧州諸国は、構造改革の実行で、経済体質を改善しつつあります。改革は道半ばですが、経常収支の赤字体質は、解消しつつあります。

また、人口増加が続く新興国は、時間はかかってもいずれ成長軌道に戻ることが期待されます。インド・インドネシアに改善の兆しがあります。新興国も危機がおこり、少しずつ構造改革が進んでいくと考えられます。インド・インドネシアがその先陣を切れるか注目です。

さて、世界で注目される国々をあらわす次のキーワードは何になるでしょうか?私は、再び高成長をはじめる国々が注目されると思います。

ミャンマー・インド・ナイジェリア、そしてフィリピンなどが候補です。語呂合わせとしては、MINP(ミンプ)とでもしておきましょうか。