今週は、アメリカの重要な経済指標の発表が続きます。大雪による一時的な停滞を脱し、アメリカの景気は強いことが確認されると思います。1月に広まったアメリカ景気への悲観は、修正されるでしょう。

一方、日本は4月1日から消費税引き上げの影響で、一時的に景気が停滞する見込みです。日米で、ちょうど逆の景気モメンタムになるわけです。こうしたマクロ環境を考えると、これまで日本株は内需株主導の展開が続いていましたが、これからはアメリカの景気の影響を受ける「アメリカ関連株」への投資も増やしていくべきと思います。

(1) 2014年の世界景気見通し

先進国が強く、新興国が停滞する構造は、変わらないと思います。(表A)。

(表A)2014年の世界景気見通し

日本とアメリカは好調と考えていますが、日本は4月に消費税が引き上げられるために1-3月が強く、4-6月が弱くなる見込みです

(2)アメリカ景気の基調は強い

アメリカは、資本主義が徹底している国です。グーグルやフェイスブックなどの成長企業を生む風土が健在です。2007-08年に吹き荒れた不良債権問題(住宅ローンが大量に不良債権化した問題)を大胆な処理で早めにかたづけると、あらたな成長期に入りました。

今、アメリカ景気の強い追い風になっているのが、シェール・ガス革命です。安いシェール・ガス、シェール・オイルを大量に産出するようになったおかげで、アメリカ経済は強くなりました。たとえば、石油化学産業は、安い原料を生かして突然国際競争力が高まりました。運輸産業や住宅産業、自動車産業も、安いエネルギーの恩恵を受けて活況です。不振なのは、ガス採掘業者です。ガス価格が安すぎて、採掘業は利益を出しにくくなっています。ガス価格を引き上げて採掘業者の利益を正常化する目的で、アメリカはシェール・ガスの輸出を解禁しようとしています。5~10年後には、アメリカが世界一の産油国になるという予想もあります。

昨年12月まで、アメリカ景気の強さを疑う人はあまりいませんでした。それだけに、1-2月に発表されたアメリカの12-1月の景気指標が弱かったことに、一時世界中で衝撃が走りました。ただし、記録的寒波による影響が大きかったことが今はわかっています。寒波が去る4月以降にアメリカ景気は再び強くなると考えています。

(3)アメリカ関連株を見直し

今、世界中を見渡して一番信頼できるのが、アメリカの景気です。アメリカで利益をかせぐ日本株に注目です。

(参考)アメリカで競争力のある事業を展開している日本企業

証券コード 銘柄名 米国事業の近況
4063 信越化学 子会社シンテック社は、アメリカの塩ビ事業で高い競争力を有する。米住宅建設復調で需要も好調。原料に天然ガスを使うので、シェール・ガス革命の恩恵を受ける。
5108 ブリヂストン 高性能タイヤで国際的に高い競争力を持つ。1988年に買収した米ファイアストン社を通じ、アメリカでも幅広く事業展開している。
6326 クボタ トラクター・米作用農業機械で世界シェアが高い。アメリカではトラクター販売で高い競争力を持つ。
7203 トヨタ自動車 アメリカで高級車が売れ始めた恩恵を受ける。2009-10年にアメリカで起こした大規模リコール問題は、米司法省に12億ドルを支払うことで和解。
7270 富士重工業 アメリカで自動車販売が好調な恩恵をフルに受ける。円安進行で収益力が一段と高まる。