27日の日経平均は145円高の14,622円でした。配当落ち(約100円)を埋めての上昇(注:後段で解説)なので、日経平均は実質245円高です。実質新年度入り(27日売買の受渡日は4月1日)は好調にスタートしました。私は、4月の日経平均は堅調に推移すると予想しています。

(1)日経平均は14,180円の下値支持線を守ってリバウンド

本レポートでご説明していた14,180円の下値支持線は今のところ堅持されています(グラフA)。

(グラフA)日経平均週足(3月27日まで)

ただし、グラフAを見ればわかる通り、上値抵抗線も15,000円近くまで下がってきています。「下値(14,180円)は堅いが、上値(15,000円)は重い」が、テクニカル分析だけから得られる結論です。

しかしながら、私は別の理由から、4月は徐々に下値を切り上げる堅調な展開を予想します。

(2)2014年に日本株の下げが大きいのは、外国人が大量に売ったから

2014年に入ってから、日本株の下落率が主要国の中で最大となっています(グラフB)。

(グラフB)2014年のNYダウ・上海総合株価指数・日経平均の動き

(注)2013年12月30日を100とした指数で表示

日本株の下落が大きかった理由は明らかです。外国人投資家が日本株を大量に売ったからです。外国人投資家は、日本株を2013年(1年間)で約15兆円買い越しましたが、2014年に入ってからは、約2兆円売り越しています。外国人投資家は、買うときは上値を追って買ってきますが、売るときは下値を叩いて売ってくるので、日本株の動きは、外国人の売買しだいで決まってしまう部分が大きいのです。

(3)外国人投資家の不安は、消費税引き上げ後の日本の景気

エコノミストの中には、4月から日本の風景が様変わりになると説く人もいます。消費税引き上げ直後から、景気がドスンと派手に落ち込むという説です。彼らの言い方を借りると、次のような感じです。

「4月になると、『3月まであんなに日本の景気が強くみえたのに、あれは幻だった~』となります。『高額品が売れていたのは、すべて消費税引き上げ前の駆け込みだった。消費税があがった途端、みんな何も買わなくなくなってしまった。そこいら中に売れ残り在庫の山で、販売業者は消費税も転嫁できずに値引き合戦が始まる。消費税引き上げの影響を除くと、物価もたちまちマイナスに。またまた、いつものデフレに逆戻り~』」

私は、そうなるとは思いません。4月から、一時的に景気が悪化するのは避けられませんが、それは「想定線」の落ち込みにとどまり、「想定外」の悪化とはならないと思います。1-3月に上乗せされた売上が、4-6月の売上から差し引かれるだけだと考えています。「1-6月通算では順調に景気回復が続く」「7月以降は、消費の復調が鮮明になる」と予想しています。

4月になれば、すべてわかります。外国人投資家は昨年15兆円も日本株を買い越してしまったので、少し不安になり2兆円も日本株を売りました。4月以降の日本の景気が「想定線」ならば、再び日本株を買って局面があると考えています。

4月にすぐに外国人が日本株を買ってくるとは考えていません。4月は外国人の売りが減少するだけだと考えています。4月は、外国人の売りが減少する中で、国内投資家の買いで日本株は堅調に推移すると予想しています。

(参考)「配当落ち(約100円)を埋めての上昇」の解説

今年の場合、3月26日に買った株の受渡日は、3月31日です。3月31日に買付代金を支払って買った株の株主になることができます。したがって、3月決算銘柄を3月26日に買えば、3月の配当金を受け取る権利が得られます。

ところが、3月27日に3月決算銘柄を買っても、3月の配当を受け取ることはできません。3月27日に買った株の受渡日は、4月1日だからです。

無配でない3月決算銘柄を3月26日に買うと、株+配当金が得られるのに、同じ株を3月27日に買うと、株しか得られません。そのため、3月26日は(配当受取)権利付最終売買日、3月27日は(配当受取)権利落ち日といいます。

権利落ち日には、理論株価は予想配当金だけ下落します。日経平均に含まれる3月決算銘柄の予想配当金を合計すると約100円となります。したがって、3月27日の日経平均は100円下がっても、実質横ばいとなります。 3月27日の日経平均は145円上昇したので、配当約100円をもらう権利が確定したのと合わせると、実質245円高であったのと同等になるわけです。