3月7日に、2月の米雇用統計が発表されました。注目の非農業部門の雇用者数は、事前予想の15万人増を上回り、17.5万人の増加でした。これを受けて、為替市場では1ドル103円台へドル高(円安)が進みました。今週の日経平均は戻りを試す動きになりそうです。
(1) 米景気への不安は低下
「米景気は、大雪の影響を除けば、基調は強い」と本欄で主張してきましたが、その確信度が高まりました。今回のサプライズは、非農業部門の雇用者増加数の大きさです(グラフA)。大雪による悪影響をこなし、好調といわれる15万人増を越えるポジティブ・サプライズでした。
(グラフA)非農業者部門の雇用者増加数(前月比)
(出所:米労働省)
2月の失業率は前月比0.1%ポイント増の6.7%でした。失業率は、大雪の期間に当たる昨年12月から2月にかけて低水準に留まっており、こちらも引き続き、米雇用情勢は堅調との見方につながっています(グラフB)。
(グラフB)アメリカの失業率推移
(出所:米労働省)
(2)日経平均は戻りを試す
1月に世界的に株が急落したのは、(1)米景気への不安、(2)新興国への不安が原因でした。今回、新興国への不安はまだ残っている一方、米景気への不安が低下した効果は大きいと思います。日経平均は1万5千円台の半ばへの戻りを試すと思います。
(グラフC)日経平均週足(3月7日まで)
グラフCを見ると、日経平均は、1月以降、14,000円~16,000円で新たな三角もち合いを作り始めているように見えます。ただし、今回米景気への不安が低下したことで、グラフCで日経平均を抑えている上値抵抗線15,200円は超えて上昇しそうです。
ただし、15,500円を超えると、以下の要因から上値が重くなると思います。
- 消費税が上がる4月以降、日本の景気がどれだけ落ち込むか見極められていないこと。
- 中国景気への不安がまだ続いていること。
- ウクライナへのロシアの軍事介入の問題がまだ解決していないこと。
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