日経平均は弱気筋の売りを打ち返して、先週21日には416円高の14,865円まで力強く上昇しました。背景には、日本の金融政策に対する期待や、米景気に対する見方の変化があります。

(1)1月から始まった急落局面は終了したと考えられる

2月に入り日経平均の値動きがとても荒くなっています。200円以上の下落が5日、200円以上の上昇が4日もありました。強弱感が激しく対立しているからです。ただし、先週、力強い陽線をたてたことで、今後は1万4千円台を売り込む向きは減るでしょう(グラフA)。

(グラフA)日経平均週足(2013年1月~2014年2月21日)

テクニカル分析から、底打ちの気配が濃厚ですが、1月からの下げモメンタムの強さをまだ完全には消し切れていません。引き続き相場は荒れる可能性があります。それでも私は、「日経平均の急落局面は終了し、今後は徐々に下値を切り上げる」と判断します。世界を見渡すと、投資環境に少しずつ明るさが見えてきているからです。

(2)「米景気失速」は大寒波による一時的現象との見方広がる

1月から相場が急落した原因が徐々に解消しつつあることから、今後、日経平均は徐々に下値を切り上げると判断しています(表B)。

(表B)1―2月に広がった悲観は、徐々に解消へ

    1-2月相場
急落の原因
市場の評価 足元の解釈
(1) 米 景気 急に悪化 × → △ 大雪原因説広がる
(2) 米 金融政策 景気悪化でも
緩和縮小が続く
× → △ 米景気は堅調
緩和縮小は続く
(3) 日 金融政策 早期追加緩和
への期待低下
△ → ○ 追加緩和に積極姿勢を確認
(4) 新興国の
金融不安
アルゼンチン通貨が急落
新興国全体の不安再燃
× → △ 新興国全体に金融不安が
広がることはない
(5) 中国の不安 景気悪化
理財商品の不良債権化
× → × 景気不安続く
理財商品への不安も続く
(6) 欧州債務問題
への不安
いつ再発する
か予断許さず
× → △ 少しずつ改善が続く

急落時には×だらけだった市場評価に、△が増えていることがわかります。「お先まっ暗」から、「落ち着いて成り行きを見よう」との姿勢に市場全体が転じてきています。

一番大きいのは、アメリカの景気判断の変化です。大雪の影響を除けばアメリカ景気は堅調との見方が増えています。もちろん、大寒波だけが失速の原因と決めつけることはできません。アメリカの金利上昇もアメリカの景気に悪影響を及ぼしています。ただ、足元アメリカの金利上昇は一服しています。私は、寒波が去る4月以降に、アメリカの景気は好調に回復すると予想しています。

2つ注意を要することがあります。

  1. 3月第1週に出るアメリカの景気指標は弱いものが多くなりそう。
    2月も大寒波による経済停滞が続いているので、3月1週に出る2月のISM製造業指数や雇用統計は弱いと予想されます。「大雪の影響だから関係ない」と解釈されるかどうか、注意が必要です。
  2. アメリカの景気が好調だと、金融緩和は終了に向かう
    私は、アメリカの真のリスクは、景気が好調であることに伴う金利上昇だと考えています。「景気好調」が確認されれば、アメリカの景気判断は△→○に変わりますが、その代わり、米金融政策の判断が、△→×に変わる可能性もあります。