私は、日本の景気・企業業績は今年も好調で、日経平均は1年後に18,000円以上に上昇すると予想しています。したがって、今のような調整局面に、日本株をコツコツと買っていっても報われると思います。

ただし、一度にたくさん買わずに、少しずつ時間分散しながら買っていくべきです。なぜならば、日経平均がもう一回、14,000円近くまで下がることもあり得ると思うからです。この状況下、まずは高配当利回り株から買い始めるのがいいと思います。

(1)配当利回りが魅力的な日本株

長期金利(新発10年国債利回り)が0.6%程度しかない中で、日本株の配当利回りは、東証一部(平均)で約1.9%もあり、とても魅力的です。中には、利回りが3~4%に達している銘柄もあります。今は、配当利回りの高い銘柄を選別して、長期投資する好機と考えています。

ただし、株の配当利回りは確定利回りではありません。減配(配当が減らされること)になると、利回りが下がるだけでなく、株価も下がることがあります。したがって、なるべく減配になるリスクが低くて、配当利回りの高い銘柄を選ぶことが大切です。

(2)減配リスクが低い銘柄を選ぶ4条件

一般的に、減配リスクの低い銘柄は、以下の特色を持っています。

  • 時価総額が大きい。
  • 財務内容が良好(借金が少ない)。
  • 利益率が高い。
  • 好不況の影響を受けにくい業態に属する。

この4条件を、イメージ図で示すと、以下のとおりです。

(3)高配当利回り銘柄のスクリーニング

上記の4条件すべてを満たす企業はなかなかありません。ただし、そのうち1.2.3.の条件を満たす銘柄はいくつかあります。以下に、スクリーニングによって抽出した配当利回りの高い参考8銘柄を掲げます。

スクリーニングの条件

  • 予想配当利回り3%以上
  • 時価総額4000億円以上
  • 連結自己資本比率40%以上
  • 連結営業利益率8%以上
証券
コード
銘柄名 業 種 予想配当
利回り
時価総額 自己資本
比率
営業
利益率
3405 クラレ 化学 3.2% 4,280億円 67% 13%
4502 武田薬品 医薬品 3.8% 3兆7,802億円 54% 8%
4523 エーザイ 医薬品 3.9% 1兆1,432億円 47% 12%
4568 第一三共 医薬品 3.6% 1兆1,982億円 53% 10%
7751 キヤノン 電機 4.3% 4兆626億円 68% 9%
8953 日本リテール ファンド投資法人 REIT 3.9% 4,655億円 45% 40%
9201 日本航空 空運 3.7% 9,339億円 46% 15%
9437 NTTドコモ 情報通信 3.6% 7兆2,153億円 75% 18%

(出所)予想配当利回り・時価総額・自己資本比率は楽天証券スーパースクリーナー、営業利益率は各社財務諸表より
(注)日本リテール投資法人の自己資本比率・営業利益率は単体、他は連結ベース。

(4)スクリーニングによる銘柄選択についての注意点

上記は、減配リスクの低い銘柄をスクリーニングで選ぶ方法の1つを示しただけで、他にも異なる方法がいろいろ考えられます。

スクリーニングによって減配になる可能性の低い銘柄を選ぶ方法には一定の効果が認められますが、それでも減配が起こる可能性はあります。