はじめに

今回のアンケート実施期間は、1月26日~1月28日でした。

2015年1月末の日経平均は17,674円で終了しました。前月末(17,450円)と比べて約223円(1.3%)高となりましたが、月間の値幅(高値と安値の差)は約1,258円とやや大きめで、値動き自体は少々荒っぽくなりました。

年末からの下落傾向が年を跨いでも継続し、大発会からの国内株市場は下落の場面が目立ちました。年初から大きく急落した前年の記憶が脳裏をよぎるスタートとなりましたが、昨年10月末に決定した日銀の追加金融緩和によって押し上げられた水準や、75日移動平均線の水準である16,000円台後半が相場のサポートとして機能したほか、日々の値動きも安値圏でスタートした後に下げ幅を縮小させる展開になることが多く、1月の後半から月末にかけては戻りを試す推移に転じました。

月間を通じて下値の底堅さが感じられた一方で上値も重たく、日・米・欧の金融政策の動向や、日米の企業決算などのイベントが相次ぐ中、「18,000円から先」のシナリオを描ききれず、株価の戻りも限定的になりました。

今回のアンケート期間ですが、日経平均がちょうど戻り歩調を強めていたタイミングであったものの、日経平均の見通しDIが前回より悪化しました。また、為替の見通しにつきましても、対ドル、ユーロ、豪ドルともに、円安見通しが大きく後退しています。先行きの不透明感を反映してか、投資家の慎重姿勢が垣間見える結果となりました。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「先高感を維持しつつも、警戒との綱引き」

  • Q1: 1月26日と1カ月後の日経平均の見通し DI=19.54
    1月26日と1カ月後の日経平均の見通し DI=19.54
  • Q2: 1月26日と3カ月後の日経平均の見通し DI=23.95
    (12月29日と3カ月後の日経平均の見通し DI=27.20)

今回の日経平均の見通しは、1カ月先、3カ月先のDIがそれぞれ19.54、23.95となり、前回調査(25.85、27.20)から悪化する結果となりました。とりわけ、1カ月先のDIが20を下回るのは昨年10月調査(12.17)以来です。10月調査の直後に日銀の追加金融緩和が決定され、日経平均は大きく値を伸ばしましたが、それまでは14,500円割れ寸前まで急落する動きを見せていました。

とはいえ、回答比率の内訳を見ると、弱気派が目立って増えたわけではなく、前月と同様に、これまで強気派だった一部が中立派に流れたことによるもので、DIの悪化ほど相場に対して不安ムードが高まったわけではなさそうです。

また、同じく3カ月先DIの回答比率の内訳を見ても、強気派から中立派へ鞍替えする動きとなっているほか、弱気派の比率については微妙ではありますが、実は前月より減少しています。そのため、全体的には警戒感が高まっているものの、相場の先高感はまだ維持していると考えられそうです。

足元の相場環境は、原油価格や地政学的情勢、ギリシャ問題、各国・各地域の景況感など、引続き海外情勢に左右される地合いとなっていますが、とりわけ、米国はドル高や原油安による影響が一部の企業業績に出始めています。そのため、企業業績というミクロ視点からの買い要因がこれまでのように積極的な材料として独立するのではなく、今後はマクロ環境の変化や金融政策の動向との関連付けで動く可能性があり、不安定な相場展開も想定されそうです。

しばらくは上値を追うというよりは、安いところを拾い、戻りで売り抜ける動きが中心となり、保ち合い相場を継続しつつ、次の展開に備えるというシナリオがメインとなりそうです。また、物色の矛先は引続き内需ディフェンシブに向かいやすいほか、中国の春節が2月下旬と例年よりも遅めのため、インバウンド消費関連なども注目されるかもしれません。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
1月26日 DI=33.77 DI=▲23.55 DI=4.51
12月29日 DI=49.71 DI=20.26 DI=21.35

12月DIをうけた1月のドル円の見通しは、テクニカル的に118.30台が一目均衡表の分厚い雲のサポートとなっているが、次の水準としては、12月16日につけた前回安値となる115円半ばレベルとしました。

1月のドル/円は、中盤のNYダウの続落および1/15に起きたスイスフランショックでのリスク回避から115.85円まで円高が進行し、一目均衡表の雲中に沈みました。2/9現在、若干方向感をドル高方向に見ながらも、1/26実施のDIはドル/円33.77(前回は49.71)、ユーロ/円-23.55(前回20.26)、豪ドル/円は4.51(前回21.35)という結果で、ユーロ円に関しては、DIがマイナス値になりました。

ドル/円

ドル/円DIは33.77、前月比マイナス15.94ポイントでした。

ドル/円、ユーロ/円ともにスイスショック等からのリスク回避による円高観は否定できません。しかし、米雇用統計明けの2/9現在、指標を好感したドル買い119円水準まで上昇しています。

2月に入り、NYダウが堅調に値を戻し、米雇用統計の好結果から米国の利上げが前倒しになるのではないかという見方も浮上しています。テクニカル的にも、一目均衡表の雲の上限まで上昇してきていること、5日と20日移動平均線がゴールデンクロスしていることもあり、短期的な上昇トレンドを確認しています。

終値ベースで雲上=119.20-30レベルを上抜けるようであれば、中期的のトレンドが発生する可能性もあります。

しかしながら、スイスが対ユーロでのフラン防衛策をとるという噂もあり、リスク回避からの円高には気をつけなくてはなりません。

注目ポイント:

  • 2/9-10 イスタンブールで開催のG20
  • 2/13  GDP速報値(ユーロ圏)
  • 2/16  GDP速報値(日本)
  • 2/17-18  日銀金融政策決定会合(日本)
  • 2/17  GDP改定値(米国)

※ 経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してください。
星★付きが重要度大です

ユーロ/円

ユーロ/円DIはマイナス23.55、前月比マイナス43.80ポイントとなりました。円高を見る投資家もほぼ半数の49.30%と、2012/6月(49.29%)以来の水準となりました。ユーロの金融緩和だけではなく、スイスショックそしてくすぶるギリシャのデフォルトリスクなど、リスク回避からの円高進行を連想させます。

テクニカル的には、いとも簡単にサポートラインだった1ユーロ=135円をわりこみ、心理的防衛ラインの130円まで値を下げました。5円レンジですが130-135円を上下に超えた所に短期的なトレンドが出るのではないでしょうか。

130円割れの場合は、2012/7月の安値94.11円から2014/12月の高値149.51円の38.2%戻し1ユーロ128.50円をひとまずの節目とします。

注目ポイントは、ドル/円と同様です。

豪ドル/円

豪ドル/円DIは4.51で前月比マイナス16.84ポイントとなりました。

円安派が前月比マイナス9.5%となり、円高派がプラス7.4%となりました。

豪ドルも、原油価格の下落や中国経済の減速から対米ドルでも値を下げており、米ドルを下支えている通貨とも言われています。

2/6発表の豪準備銀行の金融政策の報告では、2/3の利下げの背景に実質GDPおよびインフレ率の引き下げ見通しが示唆されており、追加利下げの可能性も否めません。

テクニカルでみると短期的下落トレンドの中、週足でみる200週移動平均線でサポートしているので、これを注視したい。終値ベースで、1豪ドル=90円を割りこめば中期的な下落トレンドもあるかもしれません。

ただし、強い米国経済を背景とした世界経済の成長にリスク選好の動きがあれば、豪ドルにも調整があるかもしれませんので注意していきたいところです。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 62.73% 62.44% 0.28%
EU諸国 11.12% 9.45% 1.67%
ブラジル 13.43% 12.03% 1.40%
ロシア 8.02% 10.35% △2.34%
インド 31.66% 27.85% 3.82%
中国 8.82% 8.42% 0.39%
中東・北アフリカ 4.31% 4.63% △0.32%
東南アジア 30.16% 32.41% △2.25%
中南米 5.71% 5.72% △0.01%
東欧 3.71% 3.02% 0.68%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 75.65% 74.79% 0.86%
外国株式 25.85% 28.23% △2.38%
投資信託 41.38% 43.73% △2.35%
ETF 21.64% 21.35% 0.29%
FX(外国為替証拠金取引) 13.93% 13.89% 0.04%
国内債券 5.91% 5.47% 0.45%
海外債券 9.12% 9.58% △0.46%
16.33% 15.11% 1.22%
原油 8.12% 7.40% 0.72%
商品 1.90% 1.61% 0.30%
REIT 15.23% 16.08% △0.85%
CFD 0.80% 1.09% △0.29%