はじめに

今回のアンケート実施期間は、12月29日~12月31日でした。

2014年12月末の日経平均は17,450円となり、前月末比で約9円安と月間ベースでほぼ横ばいの小幅安となりましたが、月中の値動きは慌しいものとなりました。

月初からの日経平均は12月14日の衆議院選挙を前に、前月からの上昇基調の流れを引継ぐ格好で、2007年2月以来となる18,000円台に乗せる場面もありましたが、原油安をきっかけとするリスクオフムードが高まったことで、17,000円台割れまで急落する展開となりました。

その後は、リスクオフムードが一巡するとともに、「掉尾の一振」を地で行く格好で急反発を見せ、再び18,000円台をうかがう水準まで値を戻したものの、大納会にかけては利益確定売りなどに押されました。

大納会直前に行われた今回のアンケートですが、日経平均の3カ月先見通しDIが改善し、先高期待は維持されているものの、1カ月先の見通しや為替の見通しについては、上げ下げの激しい市場環境を受けて、やや慎重な見方が強まる結果となりました。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「DIの結果はまちまちだが、楽観姿勢の印象」

  • Q1: 11月25日と1カ月後の日経平均の見通し DI=25.85
    11月25日と1カ月後の日経平均の見通し DI=25.85
  • Q2: 11月25日と3カ月後の日経平均の見通し DI=27.20
    (11月25日と3カ月後の日経平均の見通し DI=12.98)

今回の日経平均の見通しDIの結果は、1カ月先、3カ月先のDIがそれぞれ25.85、27.20となりました。前回調査(34.84、12.98)と比較すると、1カ月先の見通しがやや後退する一方、3カ月先の見通しについては楽観的な見方が増えたと言えます。

確かに、1カ月先DIがやや悪化しましたが、回答比率の内訳を見ると、弱気派が目立って増えたわけではなく、これまで強気派だった一部が中立派に流れたことによるもので、相場に対して不安ムードが高まったわけではなさそうです。12月の国内株市場の値動きが荒かったことと、アンケート実施期間中の日経平均が大きく下げる場面が見られたこと、相場が急落した2014年初頭の記憶がまだ残っていることによって、やや慎重になったと考えることができます。

一方で、DIが比較的大きく改善した3カ月先については、企業業績への期待や、今月下旬より召集される通常国会を手掛かりとした政策関連への物色観測などが背景にあると思われ、回答比率の内訳では、1カ月先とは反対に中立派の一部が強気派に流れている格好です。

2015年の新年入りとなった国内株式市場は、日経平均が大発会からの2日間で節目の17,000円台を下回るなど軟調なスタートになりました。原油安の傾向が続いていることや、ギリシャ政局の不透明感など、昨年からの外部要因による悪材料が年を越しても影響したことが背景にあります。ひとまず早い段階で17,000円台を回復しており、これから仕切り直しといった状況ではありますが、引続き、国内要因が相場を支えつつ、外部要因に振り回されやすい相場環境が続きそうです。

その外部要因についてですが、毎年1月あたまに、ユーラシアグループという、米国の有名コンサルタント会社が「世界の10大リスク」を発表するのが恒例となっています。2015年版は1月5日に発表されたのですが、簡単に紹介します。

  • 欧州の政治
  • ロシア(西側諸国との対立)
  • 中国経済スローダウンの影響
  • 金融の武器化(米国による)
  • ISIS(イスラム国)
  • 弱い政治現職トップ(ブラジル、トルコ、コロンビア、南アフリカ)
  • 戦略部門(安全保障に関る情報通信や金融など)に対する政府の介入
  • サウジアラビアとイラン
  • 中台関係の悪化
  • トルコ(エルドアン大統領の強権的な政策に対する抵抗と反発)

以上に挙げられたリスクのほとんどについて、特にびっくりするような目新しいものはありません。それだけに実現する可能性も低くはないため、今後の注目ポイントとして頭の片隅に置く必要がありそうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
12月29日 DI=49.71 DI=20.26 DI=21.35
11月25日 DI=57.55 DI=38.65 DI=31.73

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 62.44% 57.55% 4.17%
EU諸国 9.45% 10.16% 0.71%
ブラジル 12.03% 16.08% △ 2.63%
ロシア 10.35% 5.64% 5.15%
インド 27.85% 31.59% △ 1.59%
中国 8.42% 10.58% 0.62%
中東・北アフリカ 4.63% 5.50% △ 1.40%
東南アジア 32.41% 34.70% △ 2.69%
中南米 5.72% 5.92% △ 0.07%
東欧 3.02% 3.24% △ 0.17%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 74.79% 73.91% 1.03%
外国株式 28.23% 25.67% 0.93%
投資信託 43.73% 44.01% △ 1.54%
ETF 21.35% 21.02% 4.09%
FX(外国為替証拠金取引) 13.89% 12.13% △ 0.18%
国内債券 5.47% 7.48% △ 1.51%
海外債券 9.58% 10.30% 1.19%
15.11% 13.40% △ 0.49%
原油 7.40% 3.10% 3.73%
商品 1.61% 0.99% △ 0.99%
REIT 16.08% 16.36% △ 0.35%
CFD 1.09% 0.85% △ 0.68%