はじめに

今回のアンケート実施期間は、10月27日~10月29日でした。

10月末の日経平均終値は16,413円となり、年初来高値を更新して取引を終了しました。

10月の月間を通した値動きを振り返ってみますと、14,500円台まで急落した後に急ピッチで戻りを試す「V字型」の展開を見せ、値動きの幅自体はかなり大きくなりました。とりわけ、月末となる31日の取引は、日銀によるサプライズの追加金融緩和を受けて755円の急騰を見せ、9月の月間上昇幅(748円)をわずか1日で超えました。これによって、前日(30日)までは前月末比515円安だったのが、結果的に240円高の上昇につながりました。

今回のアンケート結果ですが、日経平均の見通しDIは、目まぐるしい展開が影響してか、1カ月先、3カ月先ともに前月よりも低下し、慎重な見方が強まる結果となりました。一方、為替の見通しについては、ドル円を中心に円安見通しが続いていますが、こちらもやや慎重な様子が窺えます。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「慎重な見通しが強まりDIは低下」

  • Q1: 10月27日と1カ月後の日経平均の見通し DI=12.173
    10月27日と1カ月後の日経平均の見通し DI=12.173
  • Q2:10月27日と3カ月後の日経平均の見通し DI=16.55
    (9月29日と3カ月後の日経平均の見通し DI=29.91)

今回の日経平均の見通しDIは、1カ月先、3カ月先のDIがそれぞれ12.17、16.55となり、前回調査(20.03、29.91)からそれぞれ低下する結果となりました。アンケート期間の日経平均が戻り基調を辿っていたとはいえ、10月17日までの急落ムードの余韻が残っていたことで、見通しの大幅回復にはつながらなかったようです。

とはいえ、回答の内訳(強気・中立・弱気)の比率を見てみますと、中立派が依然として多い状況で、1カ月先で約50%、3カ月先で約40%を占めています。そのため、弱気派が一気に増加したというわけではなく、相場の先行きに対して慎重に構えている様子が窺えます。なお、弱気派の比率は、1カ月先で約18%、3カ月先で約21%となっており、3カ月先の方が弱気派の比率が高まっていますが、これは消費税率引き上げ判断後の状況が不透明であることを加味しているように感じられます。

今回のアンケート調査終了後となる10月31日に、日銀が「サプライズ」ともいえる追加金融緩和を発表し、これによって日経平均の株価水準が一気に引き上げられた格好ですが、一週間後の11月7日現在、終値ベースで17,000円の大台に乗せきれない展開が続いています。急ピッチな上昇に対する警戒感を指摘する声も聞かれますが、それでも昨年4月に発表された金融緩和の時と比べると、上昇の勢いはやや弱い印象です。

昨年4月の緩和時には、緩和によって円安が進み、輸出が増えて企業業績が大幅に回復し、賃金が上昇して消費が増えて景気が加速し、物価が上昇していくという、「次の展開と期待」を先取りする格好で、当時の日経平均は1カ月ちょっとの期間に、12,000円台から16,000円台目前まで駆け上がりました。ただし、足元の状況は、追加金融緩和によって昨年のような上昇シナリオを描きにくくなっていることが、勢いがイマイチであることの背景にあると思われます。

とはいえ、今回の追加緩和の内容は、例えばETFの購入額を年間1兆円から3兆円に引き上げるなど、株価を積極的に引き上げる材料にはならないかもしれませんが、株価を下支えする規模とインパクトがあります。実際に11月5日にETFを380億円購入しています。今年に入ってからの1回の購入額は110億円~150億円が中心でしたので、倍以上の規模です。

また、消費税の税率引き上げ判断が間近に迫っていることも、次のシナリオを読みにくくしている面もあります。11月17日には判断の重要材料となる7-9月期GDPが発表されるため、それまでの相場の動きは値動きが荒っぽくなりつつも、方向感は出にくい展開が続く可能性が高そうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
10月27日 DI=44.33 DI=10.05 DI=18.44
9月29日 DI=55.94 DI=19.09 DI=19.36

10月初めのコメントで、「今後のポイントは、「利上げ時期観測」。利上げ時には、株、為替ともにボラティティを生み出すであろう。」

としたものの、ドル円については調整局面の下落に注意と書きました。

10月の為替相場は、月末の米FOMCでの「タカ派」発言と日銀黒田総裁による追加金融緩和とGPIF関連尾報道でドル/円が10/29からの4営業日で108円から114円台へと大相場となりました。

10月27日実施のDIは、実施日がこの大相場前ということもあり、ドル/円44.33(前回は55.94)、ユーロ/円10.05(前回19.09)、豪ドル/円は18.44(前回19.36)という結果で、ドル/円に関しては円安を見る投資家が1割近く減少した結果となりました。

ドル/円、

ドル/円DIは44.33、前月比マイナス11.62ポイント、DI実施時は108.30円近辺で、頭が押さえられていたこともあり、弱気センチメントから円安を見る投資家が58.39%と1割近く減少したようです。

10/4 18:00現在のドル/円は、113.60円と直近の高値水準の110.10円を上抜け、2008年のリーマンショック来の高値圏で推移しています。

短期的に見るテクニカルでは表現が難しくなってきており、心理的プライス(115円、120円)と2007年6月につけた124.13円が目標値となりそうです。

ファンダメンタルでは、11/7の米雇用統計が下押しか、一段高への引き金となりそうです。急伸し過ぎた面もあるので、行き過ぎ感からの調整に留意しながら、上昇をみるのが、オーソドックススとみます。

※ 経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してください。

星★付きが重要度大です

※ RSIボリンジャーについてはこちらをご参照ください。

ユーロ/円

ユーロ/円DIは10.05と前月比マイナス9.04ポイントとなりました。

ドル円同様に円安派が6.5%減少しました。

ユーロ/円は、ドル/円に連動し142.55円まで上昇しました。

テクニカル的には日足で見ると行き過ぎ、週足で見ると140円の雲を抜けてきたこともあり、まだ上昇余地がありそうです。143.80円、145.00円、そして145.70円が抵抗線となっています。

ユーロ自体のリスクとすれば、直近ギリシャとスペイン国債利回りが上昇していること、特にギリシャについては新たな支援が必要ともささやかれ始めています。だたし、これはユーロ安の材料。ドル高、円安がマーケットの注目となるのであれば、ユーロ/円についても円安方向を見るのがいいかもしれません。

豪ドル/円

豪ドル/円DIは18.44。前月比マイナス0.92ポイントとなりましたが、円高派が前月比マイナス1.6%、円安派もマイナス2.6%です。

豪ドル/円は、2013年5月以来の100円台を目指す展開となっています。

10/31には、日足でボリンジャーバンド+3シグマに達しており、11/3には99.40円近辺まで上昇しました。

リスクは、前回同様、オーストラリア中央銀行による投資目的用住宅への融資についての懸念です。貸し出しリスクが台頭すれば、豪ドル安の展開もありそうです。

しかしながら、マーケットはGDP値、強い雇用背景とした米国の経済が好調であることを受け、リスク選好となっているようです。

11/7の米雇用統計に注目しましょう。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 58.27% 59.81% △ 1.54%
EU諸国 8.75% 10.81% △ 2.07%
ブラジル 14.66% 14.82% △ 0.16%
ロシア 5.20% 5.21% △ 0.01%
インド 29.43% 33.24% △ 3.81%
中国 7.80% 8.28% △ 0.48%
中東・北アフリカ 6.03% 6.28% △ 0.25%
東南アジア 35.11% 32.44% 2.66%
中南米 5.79% 7.74% △ 1.95%
東欧 3.19% 3.87% △ 0.68%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 73.76% 75.03% △ 1.27%
外国株式 27.30% 25.63% 1.67%
投資信託 45.27% 47.00% △ 1.72%
ETF 17.26% 18.69% △ 1.43%
FX(外国為替証拠金取引) 14.07% 13.08% 0.98%
国内債券 6.97% 8.81% △ 1.84%
海外債券 8.39% 9.88% △ 1.49%
15.60% 13.48% 2.12%
原油 3.66% 2.67% 0.99%
商品 2.60% 2.40% 0.20%
REIT 16.43% 16.82% △ 0.39%
CFD 1.77% 0.67% 1.11%