はじめに

今回のアンケート実施期間は、9月29日~10月1日でした。

9月の国内株市場ですが、概ね上昇基調を辿り、9月末の日経平均終値(16,173円)は、前月末比で748円(4.85%)高となりました。

月初めに実施された安倍内閣の改造時に、GPIF改革推進派の塩崎氏が厚労相に入閣と報道されたのをきっかけに一段高となったほか、これまで動きの鈍かった為替市場でも円安が5円以上進行したこと、政策期待などを背景に、輸出企業の業績上振れ観測が株価上昇に拍車をかけ、9月25日には年初来高値を更新する場面もありました。

外部要因に目を向けると、地政学的情勢や米国以外の景気動向などの不透明感もあり、月末にかけては値動きがやや荒っぽくなったものの、月間を通じて目立った調整は見られませんでした。

今回のアンケート結果ですが、その日経平均の値動きが大きくなっていた時期に実施されたこともあって、日経平均の1カ月先の見通しDIについては、前月に続いて悪化しました。ただし、3カ月先の見通しは堅調となっています。一方、為替の見通しについても、ドル円を中心に円安見通しが続きました。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「DIは見通し期間でまちまちの結果」

  • Q1:9月29日と1カ月後の日経平均の見通し DI=20.03
    9月29日と1カ月後の日経平均の見通し DI=20.03
  • Q2:9月29日と3カ月後の日経平均の見通し DI=29.91
    (8月25日と3カ月後の日経平均の見通し DI=27.59)

今回の日経平均の見通しDIは、1カ月先、3カ月先のDIがそれぞれ20.03、29.91となりました。前回調査がそれぞれ22.41と27.59でしたから、1カ月先は悪化が続く一方で、3カ月先については改善し、まちまちの結果でした。

また、回答の内訳(強気・中立・弱気)の比率を見てみますと、これまで通り、「1カ月先は中立、3カ月先は強気が多数派」の構図は変わっていません。個人投資家の見通しに大きな変化はなかったと考えられ、1カ月先のDI悪化は、相場の地合いが転換したというよりも、9月はほぼ一貫して上昇してきたため、目先の調整はあるだろうという見方の表れという印象です。実際にアンケートの実施期間は値動きが大きくなっていました。

10月に入ってからの日経平均は軟調な展開が続いています。ようやく回復した16,000円台はおろか、8月上旬以来の15,000円割れとなる場面も見られています。世界的な景況感の悪化などを背景とした米国株市場下落の流れを引き継いでいる格好ですが、果たして最近の動きが目先の調整と捉えて良いのか判断が難しい状況です。

確かに、景況感については「米国一人勝ち」の様相ですが、今後も米国が世界経済を引っ張っていくのか、それとも世界経済が米国経済の足を引っ張るのか、米国では金融政策の出口が意識され、中間選挙も控えている中で、強気になりきれない状況と考えられそうです。

国内では、「円安による景気への影響をどう評価するか?」という点において、政府、日銀、市場の間で認識のギャップが生じているような印象です。追加の金融緩和期待は残っているものの、買い材料として織り込みづらくなっているほか、金融緩和期待以外にも、円安に対する評価のギャップによって、これまで政府と日銀が一体となって進めてきたイメージのアベノミクスの「足並みが揃わなくなっているのでは?」という見方にもつながって買いにくくなっている面もありそうです。

その一方で、国内景気への円安デメリットが意識されながらも、「儲かる輸出企業銘柄は買える」視点は健在と言えます。今月あたまに公表された日銀短観では、大企業製造業の想定為替レートが1ドル=100.73円でしたので、現在の為替水準はかなりの円安です。そのため、実際に業績を大きく伸ばす企業も出てくるものと思われますが、日米で決算シーズンがこれから本格化する中では、業績を先取りする動きはこれからになります。

さらに、ミクロ的な要因だけで株価が次々と上値をトライしていくのは限界もありそうです。昨年の日本株上昇はアベノミクスによる「日本買い」というマクロ視点による買いでした。そのため、マクロ政策による国内景況感へのケアが必要なため、政府や日銀などによる政策動向が相場を下支えできるかが、今後のカギになると考えられます。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
9月29日 DI=55.94 DI=19.09 DI=19.36
8月25日 DI=47.61 DI=△16.98 DI=20.56

9月初めのコメントで、「ドル/円は、一瞬の押しはあるかもしれないが基本的には円安。状況によっては110円を狙う展開もある。」と書いたとおりの円安の展開となりました。9月中の110円乗せはありませんでしたが、10/1に一時110.10円水準まで円安は進み、その後は一服感と利食いの売りなどに押され10/10現在は108円前後の展開になっています。

9月末実施のDIは、ドル/円55.94(前回は47.61)、ユーロ/円 19.09(前回16.98)、豪ドル/円は19.36(前回20.56)という結果で、ドル/円に関しては依然円安をみる投資家が6割を超えている状況です。

ドル/円、

ドル/円DIは55.94、前月比プラス8.33ポイント、円安を見る投資家が68.09%と7割近くとなりました。

10/10現在のドル/円は月足ローソク足で3ヶ月連続の陽線で、10月1日に110円をつけたところで一服感ありといった展開です。日足でみると前月同様、1. 200日平均線を上回っている。 2. 一目均衡表で遥か雲の上で推移しているもののボリンジャーバンドが収束していることもあり、一目基準線の107.40円、年初来安値から110円までの1/3戻し106.50円までの調整は見ておく必要がありそうです。ファンダメンタルにおいても、米国の利上げが2015年のどの時期になるかが注目されており、市場は早期利上げ後退の観からドル/円の下落を押しているようです。

今後のポイントは、「利上げ時期観測」。利上げ時には、株、為替ともにボラティティを生み出すので格好のチャンスになるはずです。

経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してください。

星★付きが重要度大です

RSIボリンジャーについてはこちらをご参照ください。

ユーロ/円

ユーロ/円DIは19.09と前月比プラス2.12ポイントとなりました。

方向感別でも、ほぼ変わらずで円安派が約4割、円高派が約2割です。

ユーロ/円は、ユーロは米金利の動向をみながら動いており、ドル独歩高の展開からあまり動かずとなっています。

ドイツの貿易統計で輸出が大幅減と経済の弱さが露呈している面も見えていますがリスクファクターはそれ以外には見当たりません。

テクニカル的に135.80円を割り込むと、下値リスクですがサポートするのであれば再度140円トライもありえます。135-140円の5円レンジで方向間なく動きそうです。

豪ドル/円

豪ドル/円DIは19.36。前月比マイナス1.2ポイントとユーロ円同様に前月同様の方向感です。円高派がマイナス1.2%、変わらず派マイナス9.2%、そして円安派がプラス10.4%となっています。

豪ドルは、9月の豪雇用統計で就業者数が前月比2万9700人減少したことなどを受け、下落しましたが限定的。ユーロ同様、米ドルを見ながらの展開になりそうです。

まだ大きく捉えられていないようですが、オーストラリア中央銀行では投資目的用住宅への融資について貸し出しリスクが高まっているとし注視していく考え方をしめしているようです。アメリカのサブプライム問題のような大きな問題にはならないと思いますが、頭の片隅におきながらマーケットを見ていきましょう。

直近の支持線は94.00円です。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 59.81% 55.84% 3.98%
EU諸国 10.81% 10.08% 0.73%
ブラジル 14.82% 16.45% △ 1.63%
ロシア 5.21% 6.63% △ 1.42%
インド 33.24% 27.32% 5.92%
中国 8.28% 7.29% 0.98%
中東・北アフリカ 6.28% 6.37% △ 0.09%
東南アジア 32.44% 37.53% △ 5.09%
中南米 7.74% 7.29% 0.45%
東欧 3.87% 3.45% 0.42%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 75.03% 76.92% △ 1.89%
外国株式 25.63% 24.27% 1.36%
投資信託 47.00% 41.25% 5.75%
ETF 18.69% 17.24% 1.45%
FX(外国為替証拠金取引) 13.08% 12.20% 0.88%
国内債券 8.81% 5.84% 2.98%
海外債券 9.88% 8.89% 0.99%
13.48% 10.61% 2.87%
原油 2.67% 4.11% △ 1.44%
商品 2.40% 1.59% 0.81%
REIT 16.82% 13.79% 3.03%
CFD 0.67% 1.06% △ 0.39%