はじめに

今回のアンケート実施期間は、6月30日~7月2日でした。

6月の国内株式市場の動きを振り返りますと、日経平均の6月末終値は15,162円で、月足ベースでは2カ月連続の上昇となりました。連日で最高値を更新した米国株市場など、良好な外部環境を背景に、日経平均は月初に大幅高スタートを切った後、その勢いのまま節目の15,000円台に乗せました。

その後は成長戦略の発表などを控え、上値が重たい場面もありましたが、需給面の支えもあり、大きく下げる場面もないまま比較的安定的な推移が続きました。その一方で、相場の底堅い地合いが主力株以外への物色を促し、新興株や材料株が賑わいました。

今回のアンケート結果ですが、日経平均の見通しDIについては、堅調な相場環境を反映して前月に引き続いて改善しましたが、狭いレンジでの推移が続いた為替の見通しDIについては、より慎重な見通しが多くなった格好です。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「相場環境を反映し、DIの改善傾向が続く」

  • Q1:6月30日と1カ月後の日経平均の見通し DI=27.56
    6月30日と1カ月後の日経平均の見通し DI=27.56
  • Q2:6月30日と3カ月後の日経平均の見通し DI=34.22
    (5月26日と1カ月後の日経平均の見通し DI=19.66)

今回の日経平均の見通しDIの結果は前回調査に続いて強い結果となりました。1カ月先、3カ月先のDIはそれぞれ27.56、34.22となり、前回(19.66、24.94)から値を大きく伸ばし、とりわけ3カ月先のDIについては、昨年12月末調査(37.79)以来の水準となっています。

また、回答比率の内訳を見ると、1カ月先DIでは強気が38.35%、弱気が10.79%でした。前回(強気:33.56%、弱気:13.91%)から比べてさらに強気派が増え、弱気派が減少した格好です。ただ、前回調査に比べて強気派が増えてはいるものの、依然として中立派(残りの50.87%)が根強く存在しています。

5月下旬以降、足元の株式市場は目立った調整がないまま順調に値を戻してきました。具体的にTOPIXの値動きを辿ってみると、4月、3月の戻り高値の水準を回復し、1月23日〜24日にかけて空けたローソク足の「窓」も埋めつつあり、年初の水準も視野に入っています。一方で、日経平均については、同じ時期に空けた窓の手前で足踏みをしているほか、東証1部の売買代金も必ずしも盛り上がっているとは言えません。

積極的に上値を追って行く材料に乏しく、かと言って、年金ではないかと言われる信託銀行経由の買い観測もあるため、売り仕掛けもしづらく、結果として堅調地合いでありながら、様子見姿勢が強まって売買が増えず、でも相場が下がらないから、材料株や新興市場株への物色が活発になっていく…、というイメージがここ最近までの相場状況と言えます。

まもなく日本でも決算発表シーズン入りとなりますが、7月1日に発表された日銀短観からは企業の景況感の強さがあまり感じられず、国内株式市場は今のところ業績の上方修正期待を先取りして織り込んでいく動きにはなっていません。そのため、実際の決算の内容や見通しを見極めながらの展開が予想されるため、業績相場入りはもう少し先と考えられます。

新たな材料を手掛かりに一段高になるにせよ、本格的な調整局面を迎えるにせよ、いずれは現在の膠着感が解ける展開が想定されますが、仮に調整入りになったとしても、今回の上昇相場に乗れなかった投資家による買い意欲はあると思われ、押し目買いのポイントを探りつつ、値固めをしていく動きがメインシナリオとなりそうです。

(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之)

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
6月30日 DI=12.78 DI=6.92 DI=12.78
5月26日 DI=20.57 DI=7.93 DI=13.79

6月初では上昇が見えかけていた米ドルも6/4の102.80を高値に値を下げ、6月末には200日移動平均線も割り込みました。方向感が見えなくなってきていますが、下値トライをうかがう展開になってきています。

6月30日実施のDIは、米ドル12.78(前回は20.57)、ユーロ6.92(同7.93)、豪ドルは12.78(同13.79)という結果で、ドル/円は円高をみる投資家が増加したようです。

米ドル

米ドルは、DI12.78、前月比マイナス7.79、円高を見る投資家が3.57%増加しました。7/10現在の米ドルはテクニカル的に、

  • 200日平均線を下割り込んでいる
  • 一目均衡表では雲の下で推移している
  • 年初から形成しているペナントを下側に割り込んでいる 

と、まずは下値トライをうかがう展開になりそうです。

当面の下値目標値は5月安値の100.80円でしょう。

市場では、100.70円近辺からはロスカットの売りが散見されており、99円まで足は速そうです。

ただし、6月の月間変動をここ10年でみても、最低の水準まで下落しているとおり、材料不足であることも否めず、目下「きっかけ」探しの状況です。

7月14~15日の日銀金融政策決定会合で実質GDP成長率が下方修正されるかどうかに注目が集まっているようです。

また、海外ではポルトガルの債務問題が再燃していることと、来週(7/14の週)から本格的になる米金融セクターの決算発表が注目されそうです。

7/14 CITI
7/15 JP モルガンチェース
        ゴールドマンサックス
7/16 バンクオブアメリカ
7/17 モルガンスタンレー

経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してみてください。

星★付きが重要度大です

ユーロ

ユーロDIは6.92と前月比マイナス1.01ポイントとなりました。

方向感別でも、円高派+0.36%、変わらず派+0.28%そして円安派が-0.64%と前月と様相変化なしです。

ポルトガルの債務問題が再燃しユーロが下げましたが、大きくユーロ売りドル買いになりませんでした。

6/5のECB理事会での金融緩和措置で「ジャブジャブ」になった欧州の資金が米債に集まっているおり、米金利低下  ドルが上がりきらない という構図になっているようです。

テクニカルで見ると、ユーロも米ドル同様に

  • 200日平均線を下割り込んでいる
  • 一目均衡表では雲の下で推移している

となっており、ドル/円主導の円高でユーロ/円が下がるか、ユーロ円主導となるかと、こちらも材料難のようです。

豪ドル

豪ドルDIは12.78。前回比マイナス1.01ポイントとなりました。

方向感別では、円高派+2.33%、変わらず派-3.64%そして円安派が+1.32%と若干円高派が増加したようです。

7月初に年初来高値をトライしたものの、上抜けすることが出来ず直近はポルトガルのリスクによる「質への逃避」から豪ドル売りが見られていますが、豪ドルは経済指標が堅調であること、テクニカルでみても米ドルやユーロとは逆に200日平均線と一目均衡表の雲の上で推移していることから、まだ上昇余地はありそうです。また、米ドル、ユーロの項で述べた低ボラティリティそして材料難からくるリスクオンが豪ドルを支えているようです。

ただし、ドル/円下落による豪ドル/円下落も視野に入れながらのウォッチになりそうです。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 51.66% 52.07% △ 0.40%
EU諸国 13.18% 13.22% △ 0.04%
ブラジル 13.05% 16.55% △ 3.50%
ロシア 6.26% 5.98% 0.28%
インド 27.43% 27.24% 0.19%
中国 5.73% 8.51% △ 2.78%
中東・北アフリカ 9.19% 9.08% 0.11%
東南アジア 36.35% 33.91% 2.44%
中南米 7.32% 5.40% 1.92%
東欧 4.39% 4.48% △ 0.09%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 77.36% 76.44% 0.93%
外国株式 27.16% 24.71% 2.45%
投資信託 39.41% 41.61% △ 2.20%
ETF 17.71% 16.78% 0.93%
FX(外国為替証拠金取引) 14.38% 14.94% △ 0.56%
国内債券 7.59% 7.70% △ 0.11%
海外債券 9.32% 9.77% △ 0.45%
13.05% 13.68% △ 0.63%
原油 4.39% 3.79% 0.60%
商品 2.00% 2.07% △ 0.07%
REIT 16.78% 14.37% 2.41%
CFD 1.46% 0.80% 0.66%