OPEC減産合意も追い風に、ドル円は115円目前に迫る。

先週のドル円レンジ: 111.36円 - 114.82円

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28日(月):ドル円は、111円前半まで急落。米大統領選後、初の本格的調整。

週明けのマーケットは、ドルが急落。11月9日の米大統領直後から13円近く一本調子で上昇してきたドル円ですが、ようやく本格的な調調整が入りました。

ドル円は、東京朝の112.98円を高値として、午前中のうちに111.36円まで下落。短期的なポジション調整が主体で、海外時間には112.80円まで買い戻されましたが、113円台には届かず。NY市場の引けにかけて再び売りが強まると、再び112円を割り、終値は111.889円(-1.13円)でした。

ユーロドルは、1.0683ドルまで反発も、週末のイタリア国民投票を前にして買い進める状況ではなく、高値をつけたあとは1.0563ドルまで反落、この日の安値をつけました。ユーロ円はこの日の高値119.77円から118.70円まで1円超の下落。

ポンドドルは、1.2531ドルまで上げたところが売り場となって、1.2385ドルへ急反落。ブレグジットが相変わらずの懸念材料になっていることは確かで、メイ英首相が欧州経済地域(EEA)のメンバーを脱退して、欧州単一市場へのアクセスを放棄すると報道されたことがポンド売りを強めました。別のグループはこれに強く反対しており、意見の対立が激しくなっています。

先週後半から上げ基調となっている豪ドルドルは、ドル円の下落と共に一段高となり、17日以来の0.7492まで上伸。節目の0.7500ドル手前で高値圏を維持しています。
 

29日(火)ドル円は、一時113円台まで上昇も、112円前半台まで押し戻されて引ける。

東京時間のドル円は売り先行で始まりましたが、111.62円で下げ止まると徐々に値を戻し、欧州時間には昨日の高値を超える113.34円台まで上昇。

この日発表の 米4-9月期GDPの改定値(前期比年率)は、速報値の+2.8%から+3.2%へ上方修正。堅調な消費に支えられて予想を上回る強さとなりました。

しかし、指標発表後に米金利が急速に上げ幅を縮小したことでドル円はやや大きく売り戻されて、112円台前半まで下落。終値は112.366円(+0.477円)でした。

ユーロドルは、米GDP発表後に昨日の安値に並ぶ1.0564ドルまで売られたあと、NY市場の引けにかけて1.0654ドルまで反発してこの日の高値をつけました。またドル円とユーロドルに支えられたユーロ円は、東京時間朝の118.54円を安値にNY時間には119.97円まで上昇しました。

日曜日に行われるイタリア国民党投票は、レンツィ首相が求める憲法改正案が否決されることは、ほぼ確実視されています。そうなった場合、レンツィ首相は退陣する意向を示していますが、これがすぐに右翼政党の台頭やユーロ離脱に結びつくわけではありません。むしろユーロにとって、緊急の問題は、政治的空白が生まれることによって、すでに危機的状況といわれるイタリアの銀行の倒産リスクがさらに高まることです。
 

30日(水):ドル円は、114円台半ばへ上昇。OPEC減産を背景に9ヵ月ぶり円安水準。

この日のマーケットは、OPEC減産合意を受けてNY市場でドル買いが加速、ドル円は114円台半ばへ急上昇しました。

OPECは総会で日量120万バレルの減産に合意。原油先物価格は49.90ドルまで10%も急騰しました。もともとトランプ次期大統領の財政政策でインフレ期待が高まっているところに原油高が火に油を注ぐ形となって、米長期金利は一時2.4%台へ上昇。金利差拡大を背景にドルが買われて円が売られました。また、財務長官に指名されたムニューチン氏が、法人税の減税に言及したこともドル買い材料になりました。

この日のドル円は、東京時間に112.05円まで下げた後切り返すと、欧州時間までに113円台にのせ、OPEC減産合意と米金利上昇で3月2日以来の高値となる114.52円をつけました。終値は114.479円(終値+2.113円)。

ユーロドルは、1.0666ドルを高値に1.0552ドルまで急速に値を下げる一方、ユーロ円は6月24日以来の121.30円まで上昇しました。
 

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01日(木):ドル円は、114.82円まで高値更新。終値も114円台。

この日のドル円は、円安の勢いが衰えることなく、東京時間朝には前日の高値を更新して114.82円まで上昇。一時113.83円まで戻される場面もありましたが、ダウ平均株価が史上最高値を更新して、日経平均も年初来高値、原油価格は51ドル台、そして米長期金利は約1年半ぶりの高値水準という、リスクオンに急速に傾斜するマーケットではドル円の下値はかたく、NY時間には再び114円台後半へ。終盤にかけては押し戻されましたが114円台をキープして、終値は114.078円(前日比-0.401円)でした。

ユーロドルは、昨日の高値をこえて1.06ドル台後半まで上昇。週末のイタリア国民投票や、ECBが量的緩和の期限延長をする可能性などのマイナス材料はある程度織り込まれており、むしろ失業率が2009年7月来の水準まで改善したことや、インフレ率持ち直しの兆しが支えとなりました。また、ユーロ円は円安とユーロドルがしっかりしていることで、121円台後半へ上昇。

ポンドドルも堅調で、10月6日以来の1.2695まで水準を切り上げました。英国のデービス・EU離脱担当相が「欧州単一市場への自由なアクセスを得られるように交渉する」と発言。ただし、アクセス確保のためにEUへの拠出を検討するというので、内部から相当な反対が出ることも覚悟されますが、ハードブレグジット回避の可能性がでてきたことが好感されました。ポンド円は6月24日の水準となる145.19円まで上昇。英EU国民投票後の高値を更新しました。

一方、豪ドルドルは0.73ドル台後半から0.74ドル前半で低迷。ドル高の動きに加えて、最近発表された建設許可件数や民間設備投資などの指標が弱く、経済成長見通しが下方修正されるとの見方が強まっていることから、上値が重くなっています。
 

02日(金)ドル円は、米雇用統計後に113円台前半へ下落。利益確定売りで。

11月の米雇用統計は、強弱入り混じる内容となりました。米労働省が12月2日に発表した米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+17.8万人と、強さを維持。しかし10月分は+16.1万人から+14.2万人へ下方修正となり、平均労働賃金も、前月比-0.1%と前回(+0.4%)に比べて大きく悪化。その一方で失業率は4.6%に改善して9年ぶりの来の低水準となりました。ただ全体としては、FRBの12月判断には影響ないという見方です。

発表後のドル円は、113円台後半からこの日の高値となる114.19円まで上昇しましたが、その後は利益確定の売りに押されて113.29円まで下落。戻りが鈍いまま113.55円で週の取引を終えました。

ユーロドルは米雇用統計後に1.0625ドルまで下げたものの下値も堅く1.06ドル台を維持。その後は週の高値圏である1.06ドル後半まで戻しました。ユーロ円は120.87円まで下げた後に121.60円近辺まで反発するなど、神経質な動きとなりました。